白岩公園・第四次踏査【序】

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現地踏査日:2013/3/28
記事公開日:2013/5/4
私にとっては何の気なしに借り出した一冊の書籍からまさに「巡り会った」とも言える白岩公園。それは私を書籍と手元の得られる限りの情報によるぶっつけ本番の初回踏査に向かわせ、更に地域メンバーの興味を巻き込みながら第二次踏査第三次踏査に引き継がれ、その過程で新たな発見があった。

さて、今回お届けする第四次踏査は今までとは些か趣向が異なる。即ち新たな発見を求めて繰り出されたのではない。この日のターゲットは上中山の奥にある門前池だった。初めて訪れる溜め池だが経路はネットの地図で大体のところを調べ上げていた。この途中で白岩公園の近くを通るので、追加で確保しておきたいアングルの写真撮影と第二次踏査の最後で見つけた「鼻の穴」の調査だけを目的に再び白岩公園をルートに組み入れた。したがって当初から殆ど散歩がてらの踏査であり、末尾の「鼻の穴」調査以外に新しい成果や発見はない。既出の写真が殆どなので、未だ藪に眠る白岩公園をざっと眺めて歩く程度の気持ちで読んでいただきたい。

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時は3月28日の午後である。車で小羽山方面の用事があり、その後は夕方まで空き時間ができたので門前池をメインターゲットに山歩きする計画を立てた。

今回は右膝のリハビリとカロリー消費も兼ねているので、車は中山観音の駐車場に置いて八十八箇所を経て歩くことにした。
天気は快晴。さすがに今日は雨の心配はない。


八十八箇所と呼ばれる祠が乱立する急な坂を過ぎると道は平坦になる。その先で最後の祠の一つに出会う。


この場所は面河内池の初回踏査で迷い込み偶然到達する形で訪れていた。道なき道を彷徨い歩き、やっと明白な踏み跡に出てきて辿っていた先に夥しい数の祠に出会い、異様な雰囲気だったのを思い出す。まだ白岩公園の存在すらまったく頭になかった時期だった。

この道は霜降山登山ルートの一つで、白岩公園コースと呼ばれている。その後面河内池踏査も含めて少なくとも3度ここを歩いている。尾根伝いに山の中を進み、登山向けの地図はともかく一般の地図には明白な道として記載されていない。私のX十年の人生で道の存在すら知らなかったのに、ここ最近で複数回歩くという奇妙な出会いとなった山道だ。

道中は周囲の眺めが殆ど効かない。やがて八十八箇所の坂で稼いだ高度を少しばかり吐き出す下り坂に向かう。
下った先に別の細い道と出会う場所がある。勝手呼称だが当サイトでは「面河内東分岐」と呼んでいる。


この呼称の通り、水路を渡る小さな石橋のところで右へ曲がれば面河内池の堰堤に向かう道に出る。
ただし酷い荒れ道だったことは踏査記録にある通り

同じく勝手呼称の面河内西分岐。ここも面河内池踏査のときに何度も登場した。
白岩公園コースはこれを直進し登り坂に入る。左側の下る道が白岩公園メインの入口前を通る地区道だ。


この先に門前池へ向かう降り口の道がある。
今回の踏査はむしろこちらがメインなのだが、後で行くことにして先に白岩公園に向かった。


白岩公園入口に向かう地区道を下る。
その途中で水路を横切る場所があり、そこには何も書かれていない石碑のようなものが立っている。


このように道の傍らに石材が設置されている例は他の場所にもみられる。道標の意味合いと思われるが正確なことはよく分からない。

白岩公園の入口。
ここに軽四程度ならどうにか一台停め置けるスペースがあることは前回確認していた。


ここから宇部興産(株)特高線の管理道も兼ねている山道を進めば…
今やもうすっかりお馴染みの場所である。識別用にこの石橋にも名前を付けたいところだ。
まさか「ボール橋」なんてのはないよね^^;


前回、第三次踏査の最後に訪れた場所の分岐点。
入口部分の撮影を忘れていた。椿の花が落ちているあの辺りである。


入口部分には僅かばかりの石段が遺っていた。初回踏査では木の葉に覆われていたが、その後どなたか有志が訪れたとき確認のために溜まった木の葉を取り払ったようだ。

今やもう勝手知った道である。
これほど短期間に私を含めた少人数によって集中的に訪れられた遺構も珍しい。
初回踏査記事後少なくとも3名がここを訪れているはず


そしてここも何度も訪れた「行き先のない平場に向かう石段」である。
やはりどなたかが確認のために石段へ積もった木の葉を若干取り除いたようだ。この先にはかなり大きな石積みがあり、道となる部分は石積みが空けられている。それにもかかわらず明白な遺構はなく何処にも繋がっていない現在のところ未解決の経路である。
白岩公園コースに通じる踏み跡が必ずある筈と確信している


なおも諦めが悪いようだが再度この平場を歩き回った。どう思ってもただの敷地にはみえないのである。何か古いものが遺っていて然るべきなのだが…
写真を撮ってもただの平坦な藪である。本当に何も見つからない。一体ここは何の敷地だったんだろうか…


第三次踏査の最初に見つけた緩衝池にある梵字の石盤。今から思えば全くの偶然によって目に留まり掘り出された遺構だ。
その後雨が降ったせいで若干水を被っていた。


メインの園路最初の石段を歩く。
天気が良いせいか木々の間から日が射し込んでくる。幾分明るい写真にはなるが、それでも所詮は藪だ。


振り返って撮影。
水路の方に降りる石段が見えている。


メインの園路が行き着く最初の広場。
私が白岩公園の中心と考えている場所である。もっとも今やこの場所の素性を知っているからそう思えるだけであって、何も知らない方なら何処かの荒れた里山に映ることだろう。


この広場とほぼ同じ高さに初回踏査で見つけた薬師如来の祠がある。


初回踏査では祠を見つけた時点ではなおこの場所が白岩公園という確信を持てないでいた。その後書籍で紹介されていた法篋印塔や「大自然」の巨岩を目にすることで白岩公園と断定できたのだった。
しかし今となってはこの薬師如来の祠はもちろん第三次踏査で見つけた梵字の池のところまでも白岩公園に含まれるものと考えている。行政の管理する一般的な公園とは異なるので、正確に何処から何処までが白岩公園だとは断定できない。厳密に調べるなら土地境界のある内側ということになるだろう。

この右側に勝手呼称の下池がある。
天候が良いので明るく写りはするが、日が当たるところはむしろ白トビしてしまった。


池の水位はまったく変化していなかった。
水面に反射する光がまぶしい。


メインの園路は下池の横を通り、自然の山道を登っていく。
この左側に「大自然」の巨岩や五重塔などの重要な遺構が配置されている。


「大自然」の巨岩は側面の短歌と渡辺翁による揮毫が分かるアングルから撮影したかった。そのような写真が手元に一枚もなかったのだ。
しかし周囲に雑木が多いために明瞭な写真にならない。どの場所が良いだろうかとカメラを持ったまま斜面を歩き回った。

(「白岩公園・第四次踏査【1】」へ続く)

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