馬の背池・新堤

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記事作成日:2022/3/25
最終編集日:2022/3/26
蛇瀬川の上流にある新堤とは、馬の背下池の西側にある小さな溜め池である。
写真は堰堤の下より撮影。


余水吐を中心にポイントした地理院地図を示す。


新堤という名の溜め池は市内にも複数箇所存在する。例えば山門2丁目にある小路ヶ池も新堤という別称がある。蛇瀬川の上流にあるこの新堤は別名は知られていない。

堰堤上には雑木がみっしりと生えていて新堤方向への眺めは効かない。山岳道の整備以前は夏場になると葉が生い茂り、溜め池の存在すら分からない位だった。現在でも溜め池を眺めるには霜降山登山道途中の高所からか、堰堤上の雑木をかき分けて水際まで降りる以外ない。水位が高いときは水際へ降りることも困難である。

水位が下がっても行動可能範囲はそれほど広くなく、撮影できる位置は限られる。
比較的露岩の少ない西側も溜め池の半ばまでしか辿ることができない。


池の中程から堰堤方向を撮影。
地質は典型的な霜降山系の堅い岩と風化した真砂土の混成である。


堰堤より向かって右側に大きな露岩がいくつか積み重なっている。
水位が下がると下部まで現れ、小動物が両手をついて後ろを振り返っているような姿に見える。(→個人的関わり|2022年の再訪


この露岩自体は20年以上前に初めて訪れたときから気付いていた。馬の背にある大岩は風化していない独特な形状を呈しているものが多く、そのいくつかには勝手呼称が与えられている。

馬の背上池・下池は共に平成期に入って堰堤周辺が改修された。新堤はこの2つの溜め池よりも遙かに小さく、改修されていない。このため名前に反して灌漑用溜め池としては初期の姿を遺している。
池の水を調節しながら取り出す斜樋は古めかしいコンクリート製で、木栓で締めるタイプである。


余水吐は西側端にあり、堰堤を横切る部分だけでなく流水路まで側面と底面を間知石で補強している。


堰堤の下部には石積みのような平面的構造が見られるが、接近が難しくまだ充分には調べられていない。
堰堤上を通って面河内池に向かう道は、この流水路を木橋で横切っている。
《 アクセス 》
この周辺にある他の溜め池と同様、徒歩以外のアクセス手段はない。新堤の場合、中山観音から市道門前馬の背線を経て用水路沿いに辿るのが一番近い。
割れた小さな石橋を渡った先に馬の背下池と霜降山へ向かう道の分岐があり、その場所が新堤の堰堤の端にあたる。


堰堤上はかつて通行不能なほど荒れていたが、近年山岳会メンバーによってこのエリアの山道全体が整備され無理なく歩けるようになった。現在は尾根を越えて面河内池や白岩公園に直接行くことができる。

この他に霜降山管理道から馬の背下池の堰堤上を通って新堤まで降りていくルートがある。
《 個人的関わり 》
後述する時系列記事でも書いているように、デジタルカメラで撮影した初めての溜め池である。20年以上前に国土地理院の地図を頼りに常盤用水路の経路を調べていてどんどん山中へ迷い込み、偶然訪れた溜め池だった。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

一連の物件は、FBページ[1]とFBタイムライン[2]で公開している。タイムラインで何に見えるか尋ねたところ、寛いでいる仔犬に見えるという回答が2件あった。最上部の岩が丸っこくて後ろを向いている頭部に見える上に、ちょうど目の位置にあたる部分が欠けていて日陰を与えるために余計にでも目のように見える。最下段の岩も正面中ほどがやや窪んでいるせいで両側部分が腕のように見えるのである。

徒歩で到達するのもやや遠い場所なので頻繁に人が訪れることはないだろう。知る人ぞ知る状態になって何か名前をつけようと言うことになれば再考するとして、それまでは頭の部分に耳が目立たず、両手を突いて後ろを振り返っているように見えるので、当サイトからは暫定的に見返り猿の岩と勝手呼称しておこう。
撮影目的で訪れたときの記事。2013年の踏査では面河内へ向かう道がまったく喪われていて木橋を見つけることもできなかったことがよく分かる。全3巻。
時系列記事: 馬の背池・新堤【1】
旧来の総括記事を後続の記事と共に時系列記事に変更している。
出典および編集追記:

1.「2022/3/26の投稿

2.「馬の背新堤にある動物の姿のような岩

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