市道岬赤岸線

市道インデックスに戻る

記事作成日:2016/12/14
市道岬赤岸(みさき・あかぎし)線は、宇部岬駅東の末広町から岬明神川に沿って北上し国道190号を立体交差でくぐって市道恩田則貞線に到達する認定市道である。
写真は本路線の五十目山町での映像。


ルートラボを掲載する。


市道神原町草江線までは幅1.2〜1.5車線相当の舗装路である。そこから国道下をくぐって終点に到達するまでは集合住宅への出入りのため幅を拡げられた入口付近を除いて四輪の通行はできない狭い道となっている。
《 成り立ち 》
全路線が市の管理水系である岬明神川に沿っていることから、水路の管理道か自然発生した土手道が大元と考えられる。岬明神川と中川は北東に伸びる沢筋を辿っており、本路線も沢地から丘陵部が始まる麓に沿って伸びている。直線的な経路もあるので水田に整備する折に若干経路を直線化した部分もあるだろうが、その他の屈曲は地山由来であろう。[1]同様に水路沿いの四輪が通れない狭い道が認定市道となっている例は市道五三舞線などが知られる。
全線では市道恩田八王子線交差部から協立病院前を経て市道笹山岬台線までは昭和40年代後半までに現在の道幅となっているが、起点から市道恩田八王子線までの区間は昭和50年代に入って四輪が通れるように整備されたらしい。最初期に拡幅された区間では岬明神川は完全に暗渠化され地上からは経路も分からなくなっている。
《 Googleストリートビュー 》
起点は市道岬駅通り線の岬県営住宅付近にある。映像は起点の様子。


右側の分岐路が市道岬駅通り線である。市道神原町草江線交点まで辿ることができるが、そこから終点までは車両通行不能区間のためデータ採取されていない。
起点から辿った時系列レポート。全2巻。後述するアルク恩田店の工事により沿線の風景がかなり異なっている。
派生記事: 市道岬赤岸線【1】
《 近年の変化 》
・2014年にアルク恩田店の全面改装工事が行われた。古い建物が一掃されたため時系列記事とは景観が異なっている。


本路線に対する直接の変化はない。

・2015年のはじめに五十目山町通過区間を一時全面車両通行止めにして岬明神川の開渠部を暗渠化する工事が行われた。


下流側は径の大きいスパイラル管が埋め込まれている。この区間の開渠がなくなっているため近い経路に埋設し道路幅を拡げたものと思われる。対象区間はアスファルトが新しくなっていることで確認できる。ただしスパイラル管はやや急な勾配で道路中心方向に伸びているので別の経路へ繋ぎ込んでいるのかも知れない。
簡素な金網が置かれているだけなので大雨時には学童の覗き込みなどによる転落危険箇所となり得る
《 赤岸について 》
赤岸(あかぎし)という地名は市内に複数箇所観測される。本路線の名称に現れる赤岸とは、大字沖宇部に存在する小字の一つで、現在の恩田町4丁目と則貞1丁目の間の中川水路付近に相当する。

アルク恩田店前の国道を横断する押しボタン式信号機には「宇部市赤岸」という地名標示板が掲示されている。衰退しつつある小字を行政レベルで拾い上げた極めて稀な事例である。


この地名表示板は比較的近年設置されたものであることが分かっている。現地では赤岸という小字は殆ど用いられておらず、この場所の信号機に敢えて赤岸の地名を持ち出したのは、恩田と則貞の境に近くどちらの表記も適さないと考えられたからであろうか。同様に信号機などの表示板で小字が現れているものとして宇部市若山などが知られる。ローマ字併記は最近の傾向である。地名明細書では沖宇部村相当に赤岸という小字および小名はみられない。後年、既存の小字などから分化したものと思われる。

この他、市内では開台の入口近くにある溜め池は赤岸池と呼ばれていて、この近辺の小字の赤岸に由来する。中山浄水場のある字吉ヶ迫の西側に隣接して字赤岸があり、この名を含む建物が存在する。

一般に赤岸という地名の由来は、率直に赤っぽい土の外観を形容したものと考えられる。いずれも山沿いや川で削られた斜面の下という地勢が共通している。この場合の「岸」は川沿いや海沿いの岸辺のみならず段差のある地勢を示している。土質に着目した同種の地名として東岐波の白岸が知られる。
別の考え方として水気の多い地勢を表す可能性がある。仏に手向ける水は「閼伽(あか)」と呼ばれる。[2]この場合、漢字の赤の他に垢という字も用いられる。

この地の赤岸という地名に関する個人的関わりについては次項に記述している。
《 個人的関わり 》
注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

現在では自転車で題材採取を行うとき、終点側から立体交差を経て市道神原町草江線へ抜けるルートをよく通る。これは国道の重交通に影響されずいつでも安全に通行できる立体交差の効用による。
出典および編集追記:

1.「国土地理院|1947/3/12(昭和22年)撮影の航空映像」による。

2.「デジタル大辞泉|閼伽」による。船乗りの言葉で船への浸水をアカと呼ぶことがあるのも同義。ラテン語由来のaquaとの関連性も指摘されているが、これは恐らく単なる類似音であろう。

ホームに戻る