《 黒岩観音〜旧厚生年金センター 》
再び「がけあり危険」の案内板のところまで戻ってきた。今度はこっちだ。
劈頭いきなり中規模の倒木が道を塞いでいた。前回来たときは自転車担ぎ歩きでココランドまで抜けたのだが、今となってはそれも困難である。
(もっとも今回は始めから自転車を運び歩く気は無かったが…)
この坂道部分は黒岩観音の奥にあった沢地の上にあたる。雑木が茂っているから分かりづらいだけでここからでもまだ御堂の裏側が見えていた。以前一度歩いていることもあり道中に不安はない。
沢地の上端はそのままココランドの建物である。
土砂が一気に沢地へ流れ出さないようにふとんかごが設置されていた。
黒岩観音からの登山道は昔ながらでも建物は大きく迫ってきている。人工物ながらその構造にちょっと興味を覚えた。これは登山道とはまったく無関係な話題なのだが…まあいいか。ちょっと寄り道させて欲しい。
(そうでなければあまりにも成果がなさ過ぎるので…)
少し近づいて撮影している。
建物の敷地面積を確保するには丘を削って均した平場だけでは足りなかったらしく、斜面にかかった部分はスラブ構造にしている。
撮影場所は登山道部分から少し外れたところだった。建物と下部構造を写しているのだからまったく問題はないのだが、やや離れた場所に従業員らしき姿が見えたのでスラブの下へサッと入り込んだ。物理的に宿泊客を撮影できる位置に居るとまたあらぬ疑いをかけられるのが嫌なので。[1]
スラブ下は剥き出しの地山になっていた。こういう場所は山肌の姿を観察するには好適である。
黒岩山と言うが地山の土質はどうなっているかに興味が向いた。
斜面は粒子の細かい粘性土状だった。真砂系の土砂が最終的に行き着く土質で、市内ではありふれた部類である。蛇瀬橋の橋脚下にもこれと同様のものが見られる。
建屋のコンクリート下部構造と地面との間には奇妙な隙間ができていた。
この部分だけ筋状に土が高いはずがないので、野生動物が入り込まないように盛ったのでは…
「穴があれば覗き込む、可能であれば潜入を試みる」は、お約束項目の一つである。まさかこんな中へ入ろうとは思わないけど、奥がどうなっているかは私ならずとも興味があるだろう。
もはや黒岩山登山道のタイトルからは完全に逸脱しているのを承知で、隙間にカメラのレンズを押し込みフラッシュ撮影してみた。
光が届かないだけでずっと奥の方まで空間ができていた。
即ち建物のこの部分は主要な部分で柱に支えられているものの、地面とは接していない。おこし状に見えている石材からすると基礎部分を捨てコンクリート施工した後で土砂部分が流れ出たのかも知れない。床の基礎が宙に浮いている状態で、自然にこうなったのだろうか。
下の地面は旧厚生年金センターの建物が新築された当時のままだろう。もはや半永久的に日の光を浴びることがなくなっている空間がそこにはあった。[2]
(こういうのを見ると奥はどうなっているのだろうか…とかなりゾクゾクする)
こういった張り出し構造が続いていたので、大きな荷重のかからないテラス部分だけをこの部分に配置して面積を稼いでいた。
さて、本題へ復帰だ。
登山道の高さが旧厚生年金センターの建物に追いつく頃、正面に案内板らしきものが見えてくる。
足元には一定間隔で丸太が並べられていた。階段っぽい配置は土砂を留めるためのものだろう。
すぐ横が高齢者向け施設らしくそのような間取りのある部屋が見えていた。
道は案内板のところから舗装路へ繋がっているようである。
ここにも黒岩観音から入ったときと同様の案内板のようなものが立っている。
しかし文字などは何も書かれていない。
すぐ横に行き先の矢印が出ていた。逆戻りの方向を指している。
文字も読み取りづらいが黒岩観音となっていた。
この一方向のみで黒岩山への案内は出ていなかった。
この標示板も厚生年金センター時代に設置されたものと思われる。取り外したような痕跡はなかったことから、すぐ足元にある黒岩観音を案内していただけで当時から既に黒岩山の案内は出していなかったようだ。
しかし厚生年金センター時代以前はまともな登山道があった筈だ。その痕跡はもう無いのだろうか…
これを踏み跡と言っていいかどうか分からない痕跡が山の方へ伸びていた。
黒岩観音からの登りよりもかなりきつい。
踏み跡は直線的に山頂の方へ向かうと思われたものの先で途切れて藪の中へ消えていた。強引に先へ踏み込めば再び迷ってしまいそうだ。
それよりも気になるのがこの意味不明な支柱だ。
記念植樹をしたときよくこのようなものを設置して伸びかけの幹を保持するのに使う。しかし主となる樹木そのものがなかった。
藪に埋もれて分かりづらくなっていただけで、周囲を見回すとこのような支柱が大量に遺っていた。
これは記念植樹ではなく造成後の緑化工事の一環だったのではないだろうか。
広範囲な造成を行った後で削られた山肌に植樹することは今も行われる。苗木を植えたものの根付かなかったのか、それとも予算不足などの理由で当初から植えられなかったのか、支柱の助けを借りてすくすく伸びている樹木は一本もなかった。支柱自体は堅牢に拵えられたらしく、その殆どが倒壊することもなく原形を保っていた。主の居ない支柱のみが山の斜面にズラッと並んでいる様子は、十字架の並ぶ西洋墓地のような異様な景観だった。
黒岩山への登山道としての痕跡は、少なくとも標示板の近辺にはまったくなかった。黒岩山自体は以前山頂までの到達を果たしている。しかしその登り口はここから離れた場所で、しかも正規の登山道と言うよりも後年の治水工事で造られた竪排水路に沿って進むことで登山道の途中へ出てくるものだった。少なくとも黒岩観音側からのオリジナルの登山道は経路の一部が喪われ分からなくなっていた。
もう一つ、この近くに「地図上では正方形で記述されている黒岩山の東側にある何か」の正体を調べる課題があった。それは現在のYahoo!地図などには記載されないが、古いゼンリン®の地図では山中に正体不明の正方形物体として記述されているという。
すぐ近くにあるなら調べてみようと可能な範囲を歩き回った。
十字架状の添え木近くにあった大岩。
木の葉に埋もれている部分が多くどれ位の大きさなのかは分からない。
これだけの厚みがある。
色彩がやけに緑がかかっているのは苔だけの問題ではなかった。
木の葉の間から顔を出す岩は、なべて同じような色をしていた。
藪の中に埋もれる岩の海となれば、個人的には白岩公園のものを思い浮かべる。両者の岩はまるっきり異なっている。白岩公園の岩は灰色から薄茶色系の色が殆どで、角が取れて丸っこい大岩が目立つ。他方、ここの岩は緑から黒など濃い色が殆どで、形状も角が尖ったものが多い。地学の知識がなくとも両者の岩がまったく異なることは素人目にも分かる。
黒岩山の黒岩とは、恐らくこの色彩が濃い岩に由来するのだろう。山岳名にも地名としても伝えられている。白岩公園の白岩は地名由来ではなく、園内至る所にみられる岩肌の色を黒岩山に対比させて命名されたことが分かっている。
藪の中を歩き回るのもそろそろ疲れてきた。地図に描かれた件のものは見つからないし、落ち葉を踏みしめて徘徊する足音が意外に大きいのが気になった。何しろここから保養施設はすぐ先で、すぐ下の道路を歩いている人の姿も見えていたので。
そろそろ戻ろう…
再度黒岩山を目指してみたい気もした。山頂から北側へ降りる道らしき踏み跡を確認していて、それは既に訪れた開黒岩古道の何処かに出てくると思われたので。しかし先ほどの竹藪歩きで相当に疲れたため素直に来た道を戻った。まあ今回は苦労しながらも崖の正体を確認できたことだけで良しとしよう…ごく小さな成果だけだったがそのままアジトへ戻ったのだった。
黒岩登山道と題して書いたものの殆ど登山道らしきものが現れない結末は大いに不満だろう。次にこの方面へ訪れるのがいつになるか分からないが、何かの成果が得られれば再度興味に火が着いて詳しく調べるかも知れない。
出典および編集追記:
* この記事執筆完了後に有志が地図中に示される四角い描写場所付近を調査している。報告によれば「木製の添え木群」があったところから斜面を下り、例の崖の下側先端部にあたる場所らしい。現地には何もなかったという。
このことから地図表記は採石所の詰め所で、採石業務の終了後に解体撤去されたのではと予想している。
1. 厚生年金センター時代の記事を書く目的で以前ココランドの建物を撮影していると従業員に通報され、支配人が出てきて宿泊客にカメラを向けるのは止めて下さいと撮影制止された経緯があったので。
(その後撮影制止は過剰反応だったと謝罪されている…しかし紛らわしい行為はしないに限る)
2. まったく異なるジャンルだが5年前に山陽小野田市千崎にある山陽本線の3線区間踏査でこれと同じことをやっている。
(こっちのブログ記事の方が内容があって面白いかも…)
* この記事執筆完了後に有志が地図中に示される四角い描写場所付近を調査している。報告によれば「木製の添え木群」があったところから斜面を下り、例の崖の下側先端部にあたる場所らしい。現地には何もなかったという。
このことから地図表記は採石所の詰め所で、採石業務の終了後に解体撤去されたのではと予想している。
1. 厚生年金センター時代の記事を書く目的で以前ココランドの建物を撮影していると従業員に通報され、支配人が出てきて宿泊客にカメラを向けるのは止めて下さいと撮影制止された経緯があったので。
(その後撮影制止は過剰反応だったと謝罪されている…しかし紛らわしい行為はしないに限る)
2. まったく異なるジャンルだが5年前に山陽小野田市千崎にある山陽本線の3線区間踏査でこれと同じことをやっている。
(こっちのブログ記事の方が内容があって面白いかも…)
外部ブログ記事: 山陽本線・3線区間立体交差を訪ねる【中】