《 概要 》
藤山ふれあいセンターから居能駅方面に向かって歩き、昔の真締川が注いでいた旧河川栄川周辺を訪ね、川だった時代の関連する遺構を観察する。そこから近い鍋倉山へ散歩気分で登山し、山頂でお菓子休憩する街歩き発見的な散歩プログラムである。募集時の概要は以下の通り。
開催日時 | 4月20日 13:00〜15:30 |
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集合場所 | 藤山ふれあいセンター![]() |
参加費 | 大人 1,000円 子ども 500円 |
定員 | 20名(最小催行人数 10名) |
【 プログラム化されるまでの状況 】
2023年春に第2回開催と同じさくら&菜の花ウォーキングIIを実施し、参加者が殆ど集まらなかった。これ以降の実施プログラムは毎回異なるものが求められていると認識し、いくつかの候補を考えていた。そこで春のサクラ、秋の紅葉にこだわらず、更に景観面にもこだわらない街歩きプログラムをいくつか考えた。その中でストーリー性があり興行的にも成立するこのプランを選定した。藤山ふれあいセンターから栄川周辺まではやや遠いが、参加者の殆どが自家用車で訪れるため駐車場があって受付応対が可能な場所を拠点とすることが前提条件にある。これは当初条件から変更された結果で、このため実施時間を2時間から2時間半(終了予定時刻3時半)に設定している。
このホームページでも随所で記事を書いているような栄川周辺の遺構を訪ねる。栄川はかつて藤曲周辺で海に注いでいた昔の真締川(宇部本川)の排水効率を高めるために人工的に掘り割った排水路で、その時期は新川の掘削よりもおよそ一世紀早い。昭和期に2度にわたって埋め潰され現在は西海岸通り(市道助田平原線)横の入江が遺るだけだが、橋や樋門跡などが今も観察できる。
栄川の河口部は市道東汐土手線の起点であり、それより海側は藤曲浦漁協の敷地で一般には立入禁止になっている。
この奥に昭和開作の竣工記念碑がみられる。
今回の散歩ではこの重要な石碑を知って頂くために藤曲浦漁協へ照会し、散歩コースで参加者が敷地内に入って観察する許可を頂いている。
石碑を観察後、栄川を遡行するように歩く。このとき埋め立てられた後も遺っている橋(榮橋と原田橋)を訪れる。産業道路を横切って参道の一つから鍋倉山に登る。時期が合えばサクラが観られるかも知れないが、気温が高く推移すれば恐らく散った後になるだろう。山頂からの眺めはそれほど利かず、宮地嶽神社がある南東側斜面から市街地の工場地帯が眺められる。
帰路はタイムラインを見て、時間が押していれば往路に歩いた市道助田平原線の歩道を歩き、余裕があれば居能の路地を観察しつつ藤山ふれあいセンターに戻る予定だった。
《 プロモーション 》
パンフレットの表紙。該当プログラム。
パンフレットの制作は、うべ探険博覧会時代から引き続きうべネットワーク青空が行っている。参加募集者の取りまとめや連絡はうべネットワーク青空が行い、実施パートナーからの企画書と写真の取りまとめと実際のプログラム運営をUSCが行っている。開催時日時や料金、定員、プログラム名もUSCに依るものである。この回でも宇部マニアックスが まち歩きの達人と往く!! という表現で紹介されている。
【 申し込み状況 】
前回は申し込み人数や残り枠の表示がなく、定員を超えているプログラムは申込締切日を待って抽選にしていたため空きがあるかどうかは問い合わせなければ分からなかった。今回より再び以前と同じ先着申し込み順方式に戻されている。《 実施状況 》
実施時の散歩コースを地理院地図に重ね描きした画像を示す。(経路のGeoJSONデータは こちら

週間予報ではほぼ一週間前から一貫して当日の予報は雨で、これは前日になっても変わらなかった。傘を差して歩くのに支障ある場所は殆どないので予定通り実施された。
集合場所の藤山ふれあいセンターを出発し、最初の見どころである藤曲浦漁港に入った途端に傘がなければ濡れてしまう程度の雨となった。
このため主要な場所での写真は殆ど撮影されていない。予定通りのコースを歩きすべての解説を行ったが、天気の良い日に再度足を運んでみて下さいと言う以外なかった。鍋倉山では足に自信のない参加者には待機頂いて予定通り登ったが、一向に降り止まない雨で山頂から工場を眺めるどころではなく、予定されていたお菓子の配布も止めてセンターに戻って配ることとなった。
帰りは更に雨が強くなってきたため、車の水はねを避けて交通量の少ない裏道を歩いた。
この過程で花正の石碑前を通りかかって解説したとき、石碑の前の住民が出て来られて概要を話して頂ける場面があった。
このときの説明で、花正のように読み取れる漢字は実は「花青(はなせい)」であるらしいことが判明した。花は花河内という地区名で、青は青年団である。今回の散歩プログラムの中で最大の成果だった。
センターに戻っても雨は止まず、最後にアンケートを提出して頂いて解散となった後もそのまま夕方まで振り続けた。実施日の前日は善和八幡宮の春季例祭で、私は餅撒きに拾いに行くことになっていた。例祭の前日に写真を撮りに行ったときは快晴だったのに、例祭当日は酷い雨で餅撒きは中止になってしまった。そして今回の宇部マニさんぽの雨降りを受けて「大事なイベントに宇部マニさんが行くと宣言すると当日かならず雨になって皆様に迷惑を掛けるので今後は黙って行く」と約束する笑うに笑えない事態になっている。
【 参加者のレビュー 】
提出されたアンケートはすべて無記名なので、当サイトでもサイズを縮小していくつかここに紹介する。西宇部校区の散歩題材となると、厚東区広瀬側から昭和隧道と辰ノ口操貫樋を見て御撫育用水路をたどる散歩題材あたりが好適か。
厚東区では棚井山田の千林尼の石畳道が挙げられる。
徒歩でなければ到達できない石畳道であり、是非見ておきたい名所である。
山田側に最も長い石畳区間があり、全区間を歩くのが良いが往復は相当な距離となる。船木山田地区側にマイクロバスを回しておき、峠を越えて歩いた後にバスに乗れば往復を歩かずに済むプログラムとして成立する。観光コンベンション協会とタイアップしてバス運行の部分をお願いできれば実現するかも知れない。
この日は運悪く雨降りだったが、藤曲浦漁港は栄川運河橋の撮影に最高のロケーションである。
ぜひとも撮影に行ってみて頂きたい。
なお、別の場所でも書いているように今回のイベントに限らず藤曲浦漁港の中にある昭和開作の記念碑や栄川運河橋の撮影で立ち入りするのは(入口に関係者以外立入禁止の立て札はあるが)構わないとの返答を頂いている。
《 今後対処を必要とする問題点 》
総括記事で書いた通り、今回のプログラムの事故評点は過去最低レベルだった。毎年いつも実施時に見舞われる悪天候という不可抗力はあったが、事前の準備や実施内容にあまりにも多くの問題があった。以下、自省と今後の対応も含めて記述する。【 天候に左右されがちなプログラム 】
散歩と言えば通常屋外を歩く行為である。しかし全行程がそうであれば、遠方まで歩いていたとき不意の雨に遭えば参加者をずぶ濡れにさせることとなる。実際そこまで考えて散歩コースを練ることまで考えなければならないのはしんどい話だが、降雨や強風などこれほど連続して悪天候に見舞われれば、実施内容を再考せざるを得ない。外を歩く場面はあっても全部ではなく、一部で建物の中とか悪天候時に対応できるコースにしなければならない。今回雨だったから、秋の実施時もまた雨が降ると考えておくべきだろう。そもそも4月の中旬は意外に天候が不安定で雨が多い。この記事を書いている現在も実施日の20日から向こう一週間くらい晴れ間のない予報となっている。
【 プログラム自体のわかりにくさ 】
この散歩プログラムの参加申し込みは過去最低だった。実施日一週間前になっても5名どまりであり、その後キャンセルが発生して4名にまで低下した。5名を割り込むと採算面で成り立たなくなる上に一週間前から当日の予報が雨なので、参加者数や天気予報が回復しなければ中止することを私からも申し入れしていた。その後締切当日に2名に参加申し込みがあったため、雨具を持参して頂いた上で予定通り実施された。申し込み者数が少ないのは、プログラムが分かりにくいからに他ならない。今回のプランは、柱となる目的地に訴求性が薄い。鍋倉山は昔こそサクラの名所だったが、現在はサクラは殆どなく山頂からの景観も望めない。何よりも駐車場がなく、一般向けには散歩どころか怖い場所にすらなっている。実際、参加者の一人は「下見に来たとき一人では怖い場所と思った」と話していた。
去年秋の船木で実施した散歩は、途中のコースに路地を辿ることと紅葉を愛でに行くというモチベーションがあった。今後はこのような訴求力があって比較的一般向けとなる主要な訪問地を盛り込んだ散歩でなければならない。
【 駐車場の問題 】
これは行政の手続き的な問題が原因であり、可能であれば見直しをお願いしたい点である。USCにプログラムを提出した後で、予想外に集合場所の変更を余儀なくされた。これは当初の集合場所としていた鵜ノ島公園に参加者が車を停めるのを市公園緑地課がイベント使用とみなし課金するだけでなく、自治会長の承諾書がなければ許可しないなどと煩雑な手続きを求めたからである。藤山ふれあいセンターの会議室が予約確保できるので集合場所は確保できたが、散歩経路を一から見直さざるを得なくなった。詳細はリンク先の記事を参照。
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