宇部マニさんぽ - 栄川の痕跡と鍋倉山さんぽ(2024年春)

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記事作成日:2024/3/23
最終編集日:2024/4/24
ここでは、宇部市スポーツコミッション(以下USCと略記)主催で宇部マニアックスによる定番プログラム宇部マニさんぽシリーズのうち、2024年春実施予定の栄川の痕跡と鍋倉山さんぽについて記述する。
《 概要 》
藤山ふれあいセンターから居能駅方面に向かって歩き、昔の真締川が注いでいた旧河川栄川周辺を訪ね、川だった時代の関連する遺構を観察する。そこから近い鍋倉山へ散歩気分で登山し、山頂でお菓子休憩する街歩き発見的な散歩プログラムである。

募集時の概要は以下の通り。
開催日時4月20日 13:00〜15:30
集合場所藤山ふれあいセンター
参加費大人 1,000円 子ども 500円
定員20名(最小催行人数 10名)
3月6日より募集開始され、申込締切は4月17日であった。USCに提出する企画書から作成されるパンフレットは掲載文字数が限定されるため、もう少し詳しい内容を以下に記述する。
【 プログラム化されるまでの状況 】
2023年春に第2回開催と同じさくら&菜の花ウォーキングIIを実施し、参加者が殆ど集まらなかった。これ以降の実施プログラムは毎回異なるものが求められていると認識し、いくつかの候補を考えていた。そこで春のサクラ、秋の紅葉にこだわらず、更に景観面にもこだわらない街歩きプログラムをいくつか考えた。その中でストーリー性があり興行的にも成立するこのプランを選定した。

藤山ふれあいセンターから栄川周辺まではやや遠いが、参加者の殆どが自家用車で訪れるため駐車場があって受付応対が可能な場所を拠点とすることが前提条件にある。これは当初条件から変更された結果で、このため実施時間を2時間から2時間半(終了予定時刻3時半)に設定している。

このホームページでも随所で記事を書いているような栄川周辺の遺構を訪ねる。栄川はかつて藤曲周辺で海に注いでいた昔の真締川(宇部本川)の排水効率を高めるために人工的に掘り割った排水路で、その時期は新川の掘削よりもおよそ一世紀早い。昭和期に2度にわたって埋め潰され現在は西海岸通り(市道助田平原線)横の入江が遺るだけだが、橋や樋門跡などが今も観察できる。

栄川の河口部は市道東汐土手線の起点であり、それより海側は藤曲浦漁協の敷地で一般には立入禁止になっている。
この奥に昭和開作の竣工記念碑がみられる。


今回の散歩ではこの重要な石碑を知って頂くために藤曲浦漁協へ照会し、散歩コースで参加者が敷地内に入って観察する許可を頂いている。ちなみに漁港内は湾岸道路の栄川運河橋の撮影にも好適なスポットである。

石碑を観察後、栄川を遡行するように歩く。このとき埋め立てられた後も遺っている橋(榮橋原田橋)を訪れる。産業道路を横切って参道の一つから鍋倉山に登る。時期が合えばサクラが観られるかも知れないが、気温が高く推移すれば恐らく散った後になるだろう。山頂からの眺めはそれほど利かず、宮地嶽神社がある南東側斜面から市街地の工場地帯が眺められる。

帰路はタイムラインを見ながらコースを考慮する。時間が押していれば最短経路で、余裕があれば居能の路地を観察しつつ藤山ふれあいセンターに戻る予定である。
《 プロモーション 》
パンフレットの表紙。


該当プログラム。


パンフレットの制作は、うべ探険博覧会時代から引き続きうべネットワーク青空が行っている。参加募集者の取りまとめや連絡はうべネットワーク青空が行い、実施パートナーからの企画書と写真の取りまとめと実際のプログラム運営をUSCが行っている。開催時日時や料金、定員、プログラム名もUSCに依るものである。この回でも宇部マニアックスが まち歩きの達人と往く!! という表現で紹介されている。
【 申し込み状況 】
前回は申し込み人数や残り枠の表示がなく、定員を超えているプログラムは申込締切日を待って抽選にしていたため空きがあるかどうかは問い合わせなければ分からなかった。今回より再び以前と同じ先着申し込み順方式に戻されている。最終編集日時点では、本プログラムの参加可能人数にはまだ充分な空きがある。
《 実施状況 》
実施時の散歩コースを地理院地図に重ね描きした画像を示す。
経路のGeoJSONデータは こちら


《 今後対処を必要とする問題点 》
総括記事で書いた通り、今回のプログラムは内容的に過去最悪レベルだった。毎年いつも実施時に見舞われる悪天候という不可抗力はあったが、事前の準備や実施内容にあまりにも多くの問題があった。以下、自省と今後の対応も含めて記述する。
【 天候に左右されがちなプログラム 】
散歩と言えば通常屋外を歩く行為である。しかし全行程がそうであれば、遠方まで歩いていたとき不意の雨に遭えば参加者をずぶ濡れにさせることとなる。実際そこまで考えて散歩コースを練ることまで考えなければならないのはしんどい話だが、降雨や強風などこれほど連続して悪天候に見舞われれば、実施内容を再考せざるを得ない。

外を歩く場面はあっても全部ではなく、一部で建物の中とか悪天候時に対応できるコースにしなければならない。今回雨だったから、秋の実施時もまた雨が降ると考えておくべきだろう。そもそも4月の中旬は意外に天候が不安定で雨が多い。この記事を書いている現在も実施日の20日から向こう一週間くらい晴れ間のない予報となっている。
【 プログラム自体のわかりにくさ 】
この散歩プログラムの参加申し込みは過去最低だった。実施日一週間前になっても5名どまりであり、その後キャンセルが発生して4名にまで低下した。5名を割り込むと採算面で成り立たなくなる上に一週間前から当日の予報が雨なので、参加者数や天気予報が回復しなければ中止することを私からも申し入れしていた。その後締切当日に2名に参加申し込みがあったため、雨具を持参して頂いた上で予定通り実施された。

申し込み者数が少ないのは、プログラムが分かりにくいからに他ならない。今回のプランは、柱となる目的地に訴求性が薄い。鍋倉山は昔こそサクラの名所だったが、現在はサクラは殆どなく山頂からの景観も望めない。何よりも駐車場がなく、一般向けには散歩どころか怖い場所にすらなっている。実際、参加者の一人は「下見に来たとき一人では怖い場所と思った」と話していた。

去年秋の船木で実施した散歩は、途中のコースに路地を辿ることと紅葉を愛でに行くというモチベーションがあった。今後はこのような訴求力があって比較的一般向けとなる主要な訪問地を盛り込んだ散歩でなければならない。
【 関係機関の非協力的な態度 】
明白な行政批判になるのだが、今後の問題提起として事実関係を書き付けておく。

実施された散歩コースは、藤山ふれあいセンターを拠点としている。メインの訪問先は栄川と鍋倉山周辺で、センターからはかなり離れている。これは問題が起きたため急遽藤山ふれあいセンターを拠点に変更せざるを得なかったためである。

当初計画では、鵜ノ島公園を拠点に以下のようなコースを歩く予定だった。
経路のGeoJSONデータは こちら


この理由は、鵜ノ島公園は子どもたちが遊ぶ公園に付随して車を停められるスペースが広いこと、居能方面に注いでいた宇部本川は公園のすぐ近くを通っていたことが判明しており、昔の川筋をたどる散歩として分かりやすかったからである。

写真は鵜ノ島公園の下見に行ったときの撮影。
イベント開催時でなくてもいつ行っても車が数台停まっている。もちろん公園に人影はない。


最寄りの行政機関として鵜ノ島ふれあいセンターがあるが、駐車場が狭く2〜3台しか停められないし公園から更に東へ300m程度離れてしまう。そこで鵜ノ島公園を集合場所とするプランをUSCに提出した。USCは利用申請で公園緑地課に出向いたところ、このような対応を受けたという。
「イベントに係る使用になるので、利用申請書を提出し使用料を払って頂きます。それから当該公園がある地区の自治会長の承諾書を取ってきて頂いてからの申請となります。」
申請書は想定されていたが、有償になるとUSC側の負担となる。何よりも自治会長の承諾書を取りに行くことは想定外であり、今からその手続きを行っているとパンフへの最終案掲載に間に合わない。藤山ふれあいセンターに問い合わせたところ、実施日の20日は会議室使用予約が入っておらず利用可能というので、煩雑な手続きが不要な藤山ふれあいセンターを拠点とした散歩コースに変更できないかとの相談を受けたのである。

前掲のコースは、こういう事情から不本意にも変更したのである。見て分かるように藤山ふれあいセンターから栄川まではめぼしい説明ポイントがなく、退屈な移動となる。時間的余裕があれば、藤山中学校か玉川ポンプ場の詰め所を集合場所にできないか交渉することも考えていた。

市はイベント使用に該当すると言っているが、公園そのものを利用するのではない。車を数台置くだけである。それも芝生を傷めるなどの心配がなく、現に常時公園利用者でない車が数台停まっている。行政は散歩という街興しをするメンバーを助けるどころか、煩雑で頭の堅い手続き運用をタテに挫いているも同然である。

公園は市公園緑地課の所管だから、市の中で簡潔する筈である。なのに自治会長の承諾書が要るという部分がまったく理解できない。わざわざ煩雑な手続きを強いているも同然で、かつてのハンコ行政から抜け出せていないも同然で、今回の市の対応には心底失望した。こういった問題点は誰かが表に出さなければ永遠に改善されないから、ここに一連の経緯を記述した次第である。
出典および編集追記:

1.「FBページ|宇部マニアックス|2024/4/21のタイムライン
FBページ|一般社団法人宇部市スポーツコミッション|2024/4/24のタイムライン

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