市道常盤公園開片倉線・横話【4】

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(「市道常盤公園開片倉線・横話【3】」の続き)

《 開墓地公園石碑 》
現地撮影日:2014/9/27
記事公開日:2014/12/31
開墓園の手前にある坂の麓に本路線を挟む形で花崗岩の石碑が立っている。


入口側に向けて開墓地公園とだけ刻まれていた。
「墓」の文字の崩し方が独特なように見える


石碑は四角柱の上部を錐体に加工し、角の部分は細く削り取られた装飾が施されている。
石柱下部の色が変わっている原因はよく分からない


後続編でも述べているように開墓地公園は市公園緑地課の管理する墓地公園の一つで、その内部に認定市道が通過している唯一の墓園である。道路の両側に石柱が建っていることからかなり昔から墓参道が一般向けの通路となっていたらしい。石柱には墓地公園以外の文字など時代考証可能なものは遺されていなかった。どういう目的から石柱が設置されたのかは分からない。

開墓園に至る公道としてもう一つ市道開墓地公園線が存在する。しかし通ったことがなく同様の石柱が設置されているかは調べられていない。
《 丹土坂 》
現地撮影日:2010/2/28
記事公開日:2015/1/21
情報この記事に登場する物件(丹土坂)は場所が異なるかも知れません。その場合ファイル名または内容を差し替えて本タグを除去します。

前項の開墓地公園石碑を過ぎると本路線中でもっともきつい登り坂に差し掛かる。


早くから両側が墓園となったためこの区間のみセンターラインを欠き車でも通りにくくなっている。
この坂道に現在伝わっている名称はない。しかし最近閲覧した書籍[3]によると、丹土坂(につちさか)として記述されているのはこの場所ではないかと思われる。該当箇所を引用する。
明治てふ 十まり七つ、八つの年、赤岸岩田の、池を築き、東の山の、丹土坂、沈むはかりに、水湛へ、蛇もすむならんと、見るさきに、鬼松もあり、其の西の畠をひらきて…
この下りでは丹土坂にはニツチサカと振り仮名が与えられている。

冒頭写真で左に下る分岐路はひらき台へ向かう地区道であり、途中で左側に岩田池を望む。この辺りにある古くから往来されていた街道に目立った坂と言えばここしかない。
更に[1]の欄外には「丹土坂は岩田池の東の山麓にある。この近辺には黒岩山丹土ヶ原、化粧田という地名があって所以がありそうに思われる」という注釈がある。ここにある化粧田(けしょうでん)はまさに岩田池のすぐ下の沢にある化粧田池を示すものと言えよう。

坂の名称に現れる丹土とは、赤土のことである。この近辺の土質による命名と思われる。真砂土が更に細粒化すると粘土状となる。保水性が低いので崩れて赤茶色が剥き出しになることが多い。
本路線の道中にも赤土が剥き出しになっている場所を見かける

文献には鬼松に関しても言及がある。引き続き述べる。
《 鬼松 》
現地撮影日:2010/2/28
記事公開日:2015/1/21
鬼松(おにまつ)は開墓地公園の南側入口付近に存在した地名である。
写真は丹土坂と思われる場所。


再び文献[3]によると、鬼松とは元は固有の松の名前であった。その由来は常盤池を築造した椋梨権左衛門俊平公にまで遡る。
椋梨公は常盤池の様子を観に行くために居住地の川上から常盤池への往還路両側に松を植えた。当時は鬱蒼と生い茂るほどであったという。これら往還路の松は維新の際にことごとく伐採されてしまい現在では一本も残っておらず、この地に名前を遺すのみとなった。現在では開2丁目となっていて鬼松の名が見える構造物などは知られていないため地名としてもほぼ絶滅状態である。

本路線の主要な分岐点となる野中五差路を経て本路線を進むとき、工学部通りと本路線の間に鋭角三角形状の領域がある。この場所はかつて道松(みちまつ)と呼ばれていたようで洗川小村の道松小名として記載されている。[4]小字絵図にも記載があるこの地名も鬼松同様、椋梨公による往還路の松植樹に由来するのはほぼ確実と言えよう。
《 開墓園 》
現地撮影日:2014/9/27
記事編集日:2016/11/19
情報この記事は開2丁目北にある開墓地公園について記述しています。
開1丁目にある児童公園については こちら を参照してください。

開墓園は宇部市開2丁目にある市公園緑地課管理の墓園の一つで、この他に小羽山墓園、白石墓園が存在する。[1]
市道が墓園の中を通過しており、その南側入口には開墓地公園と刻まれた石碑が建っていることから、かつては開墓地公園とも呼ばれていた可能性がある。

墓園の中を本路線が通っているので車での墓参が容易である。
お盆や彼岸に限らず天気の良い休日などはこのように路肩に車を停めて墓参する人が目立つ。[2010/2/28]


西側を撮影。
遠くに霜降山が見えている。[2010/2/28]
ズーム撮影画像はこちら


黒岩山の西側の高台を通っているので墓園という要素を除けば眺めは良い場所である。墓地という陰鬱としたイメージがなく開放的なのは高評価だ。

墓園の西側はかなり急な斜面になっている。


沢を隔てた奥の尾根に旧厚生年金センターの建物がある。
ここから直接往来できる道はない


個人的関わりは何もなく開墓園に関して知るところは殆どないが、墓園の歴史は相当に古いかも知れない。小字絵図ではこの墓園がある小高い丘に墓納(はかのう)という小字がみえている。更に地名明細書では同じ読みで墓ノ尾と記載されていることから、地名自体も「墓がある尾根」に由来すると考えられるのである。

開墓園はたまたま本路線の記事を書く過程で内部を通っているので項目化しただけである。当サイトでは墓園に関するこれ以上の情報提供はできないので、新規申し込みなど詳細は[1]にお問い合わせいただきたい。
《 場所柄なお店の看板 》
開墓地公園の北の端、大きなカーブを過ぎた内側に小洒落た酒場&カラオケ店がある。


何を言わんとしているか恐らく一部の読者には感づいていただけたことと思われるが…

注意以下は私的案件のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

間接的な宣伝的記事となってしまったが、この店への個人的関わりは今のところない。
《 シートベルト未装着取り締まり地点 》
現在も続けられているかは知らないがかつてこのカーブ内側の余剰地はシートベルト装着義務違反の取り締まりが不定期に行われていたことが知られている。


反対側から撮影。
この左カーブ内側に余剰地がありかつてはここによくパトカーが待機していた。


反対側から撮影しているのには理由がある。片倉方面から開墓園へ向かう車両を重点的に調べていたからだ。そのことはこの場所の道路構造が大いに関係している。

更に離れて撮影。
片倉から車を走らせたときこの場所まで登り坂でありしかもややきつい左カーブになっているためカーブの内側の余剰地がまったく見えない。


このためカーブを曲がり終えていきなり先の余剰地へパトカーが停車しているのを目撃することになる。心当たりのあるドライバーが慌ててシートベルトを装着ようとしても手遅れ…という典型的な定点観測式取り締まりパターンである。

公道でのシートベルト装着など今や常識の部類なのだが、初期は努力義務だった。罰則付きの義務化となったのは平成期に入ってから[2]のことで、遵守しないドライバーが多かったせいかシートベルト未装着のみを対象とした取り締まりが行われていた。この場所がその一つで、速度取り締まりは行われていなかった。元から道路構造上の制約でそれほどスピードを出せる路線でもなかったからである。
本路線を終点側から走ったときこの余剰地にパトカーが停まっているのを数回目撃したことがある。実際に取り締まられたことは当然なく、また取り締まり内容を尋ねた訳でもないが殆ど間違いなくシートベルト対象だったと思う。

同様にシートベルトのみを抜き打ち検査していたポイントとしては国道490号の琴崎八幡宮前が有名だった。市街地へ向かうとき琴崎八幡宮前が左カーブになっていてパトカーの待機状態が見えないことを利用した同じ手法だった。しかし国道の拡幅および線形改良によりバス・タクシー待機用のループがなくなってからは実施されなくなっている。
《 誰のためのローマ字併記? 》
情報この項目は記述内容が増えたので将来的に単一記事に分割される予定です。

実のところこのバス停名だけの問題ではない。市内既に至る所で蔓延ってしまっている。申し訳ないがその中で特に香ばしさが最高潮に達してしまっている「作品」として取り上げた。
市営バスのハーモニーヒルズバス停のサインである。


アルミ板には剥がした跡があり、元あったバス停名を剥がして新しいものを貼り付けているのだが…
Harmony Hills ではない。
Ha-moni-hiruzu なのだ。


素晴らしい…思わずツッコミたくなる。
問題: 初期条件 Ha = 3, moni = 2, hiruzu = 1 であるとき、
実数値 Ha-moni-hiruzu の値を求めよ。
情報以下の記述には個人的見解が含まれます。

誰にでも読めるカタカナに何でまたローマ字併記が必要なのか?
ここまでくれば片腹痛いと言うか痛々しいと言うか、ハッキリ言って宇部の恥だ。

実のところこのおかしなバス停サインは前々からのものではない。ローマ字併記型のバス停サインはいくつか存在していたが、ここ数年のうちに増殖したものは「こんな誰にでも読めるバス停名に?」と思われるものまで一律ローマ字併記である。

以前のバス停サイン。
カタカナでバス停名のみが記載されていた。[2010/2/28]


誰の目にも「ハーモニーヒルズ」と読めるバス停名をわざわざ剥がし、新たに奇妙な引き算の数式みたいなローマ字併記のものに貼り替えているのである。もしかすると「ハーモニーヒルズ」という片仮名だけでは読めずに困る人が居るかも知れないのでという塩梅だ。

詳細な経緯は不明にしても大体どのような流れでこんなことになったのかは想像がつく。市営バスの利用者からアンケートを採ったところ、例えば高領(こうりょう)のようなバス停で降りようとしたとき、車内アナウンスで「こうりょう」と聞いたものの漢字表記のバス停名の読み方が分からず乗り過ごしてしまった…これでは困るので誰にでも分かるように振り仮名を併記して欲しい…のような要望があったのだろう。

恐らくそういった問題への対処から市交通局は新設および改修されるバス停サインにかならず振り仮名を併記する方針にした。それはいいとして、何故か振り仮名はカタカナや平かなではなくローマ字が選定された。多分、道路標識でもローマ字併記になっていることが多い現状を踏襲したのだろう。
しかしどのような場合にローマ字併記を行うかのルール作りが明確でなかった。高領や中須郷のような読みが難しい漢字表記のバス停はともかく、常盤公園を Tokiwa Park にするのか Tokiwakouen にするのか…はたまた、常盤ミュージアムのような明白な英単語で通常カタカナ表記されるものをどうするのか…についての協議が充分に検討されていなかった。いや…ハッキリと「粗雑だった」と言っていい。

一律に「元からあったバス停名の下にかならずローマ字を併記する」というルールを作って導入したばかりに、どう考えてもローマ字併記が不要なバス停名まで杓子定規な併記を行ってしまったのである。片仮名を正しく読み取れない人間が市営バスに乗るだろうか。バス停サイン名を読み取るのが誰なのかを考えればこんな改定が通る余地もない。

現状はハーモニーヒルズだけではなく、セントラル硝子前、高専グランド前、ときわミュージアムといったバス停名も英単語ではなく Sentoraru とか Gurando とか Tokiwa-Myujiamu のようなおバカなことになっているのである。

現状は英単語を満足に使いこなせない宇部市民の低レベル度を対外的にアピールしているようなもので、テクノポリス宇部の名が泣く。ローマ字併記を全廃せよとまでは言わないが、漢字表記される固有名詞に限定し、今ある「恥ずかしいバス停サイン」は可能な限り元に戻すことを考えてはどうだろうか。
【 本項目記述後の変化 】
項目記述日:2016/12/18
指摘があったのかそれとも単純に表示が見えづらくなって更新しただけなのか、このバス停表示のローマ字部分が若干変化していることに気づいた。


だから…そうじゃあなくって…orz というのが率直な感想。
ハイフンを取り除けば、読みははもにひるずバス停だ。長音を意味するハイフンを取り除けというのではなく、この場合ローマ字併記自体が要らないと言ってるだろうに。

ハーモニーヒルズとは川上15区の自治会名であり、バス停名に採用するのに何ら問題はない。このバス停を頻繁に利用する外国人などがあり、片仮名のみの表記ではどうしてもバス停名が読めず不便だという声があれば別として、その片仮名併記を一体誰が読むのかということを素直に考えればどう思っても奇妙である。
【 本件に関する市交通局の見解について 】
項目記述日:2017/5/5
宇部新川市祭りでは歩行者天国となるシンボルロードの一部区間に毎年市交通局が出店し、一日乗務員などの子ども向けイベントを開催している。たまたま通りかかってイベント関連の話をしているうちに本件を思い出し尋ねてみた。この折に現地へ居合わせた責任担当者から見解を伺うことができた。なお、以下の談話は一担当者による口頭のものであり、正規に市交通局へ問い合わせた結果組織として寄せられた文書による回答でないことは注意を要する。
「バス停のローマ字併記はどのような基準で行われているのか。」
「国や県の案内標識にある英語表記およびローマ字表記に準じて行っている。地名を含むものは国土地理院の表記も参考にしている。」
「一部で〜丁目を choume としたり Cyoume などとなっている事例があるが今後は統一されるのか。」
「バス停サインは設置時期の古いものがあり、必ずしも現在の基準に適合していないものがある。今後更新する必要が出てきた折には順次正規のものに変更していく。」
「『ときわミュージアム』を Tokiwa museum ではなく Tokiwa myujiamu などとするのはおかしいのでは。正規の英単語を含むものは何故英単語をそのまま踏襲しないのか。」
「バスに乗っている外国人は英語圏の人とは限らない。実際にバス停名を「ときわみゅうじあむ」という音で覚えているなら、バス停サインもバスの中のアナウンスで読まれる通りに一致させなければ分からない。」
「しかし一般に我々はミュージアムを myujiamu とは書かない。実際、国や県の標示板ではときわ公園は Tokiwa Park として案内している。museum という単語が一般的ならそれを使った方が分かり良いのではないだろうか。」
「我々はバス停名を一つの固有名詞と考えている。例えば白石さんという名前の方を White Stone さんと呼ばないのと同じである。ときわミュージアムバス停は『ときわ公園の博物館に近いバス停』ではなく「ときわみゅうじあむバス停」という一つの固有名詞なので、発音にしたがいローマ字併記している。」
そういう訳で、この一般人には違和感アリアリなローマ字併記について市交通局では何ら問題として認識されておらず、修正される予定はまったくないこと、むしろ今後も同様のルールでローマ字併記を行っていくスタンスが確認された。[1]

あと、ローマ字併記問題とは別に市営バスが抱えているいくつかの問題についてもお尋ねしたのだが、ハッキリ言ってもうここに書く気力もない。およそ何の問題提起を行っても「出来ない・やらない理由探し」に終始されていたからだ。祭りの出店での応対だから適当で良いとでも考えたのだろうか。この辺りのもっと詳しい経緯は[2]に書くこととして、およそ利用者の声に耳を傾けずお座なりに運営する位なら市交通局による直営体制を廃止して民間委託か指定管理者制度へ移行すべきと思うのだが、如何だろうか。市立図書館の運営でも同種の意見を提出したことがあるのだが、今までやってきた方法を見直しもせず惰性で続けるような誰にでもできる業務に市の職員を充てる必要性をまったく感じない。

このローマ字表記については上記で担当者も明言していた通り、2017年10月からのダイヤ改正に伴い新設されたバス停名などにも及んでいる。芝中通り線に設置された「リサイクルプラザ」バス停にはローマ字併記で Risaikuru Puraza となっている。[3]
出典および編集追記:

1.「FB|『ときわミュージアム』は Tokiwa-myujiamu で良いそうです(2017/5/6)
2.「FB|『誰が市営バスに乗るのか?』という一番大事な視点が抜け落ちているのでは(2017/5/6)
3.「FB|リサイクルプラザ(Risaikuru-Puraza)バス停(2017/10/20)
なお、上記の Facebook タイムラインはログインしなくても読めるように全体公開に設定している。この問題はそろそろもう少し宇部市民の目に触れる場所へ引き出した方が適切かも知れず、独立記事化を考えている。
《 藪にまみれた建物 》
現地撮影日:2010/2/28
記事公開日:2015/1/8
この建物は数年前に初めて本路線を自転車走破したときにも見つけていて、近くで写真を撮っていた。


フェンス門扉は施錠されていて有刺鉄線が張られていた。
その奥にはコンクリート造り平屋のそれほど古くはない建物が見えていた。


フェンス門扉にはNTTの標示板があったので、電話関連の建物ということだけはわかった。
この建物から道路を挟んで反対側にある電波塔は、この撮影を行ったときと同時期に建てられたようである。
出典および編集追記:

1.「宇部市の都市公園一覧|宇部市

2.「Wikipedia - シートベルト|着用義務

3.「緑濱の真砂」(春水館 十王堂無庵居士)

4.「山口県地名明細書」(山口県文書館専門研究員 田村哲夫著)p.135

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