桃山配水池

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記事作成日:2017/7/5
最終編集日:2018/5/11
桃山(ももやま)配水池とは宇部市上下水道局の管理する設備群で、中山浄水場で作られた上水を貯留し市街部へ供給する役目を持つ。
写真は旧1号配水池監視廊入口と3号配水塔。


3号配水塔の現在の門扉部分をポイントした地図を示す。


地図では北側に中山浄水場の設備群が見える。処理を終えた上水は管路を経てポンプアップされ桃山配水池にある水槽へ貯留される。管埋設路は一部が市道藤曲門前線となっており、中山浄水場以前からの古道である。

桃山配水池の所在地は大字小串字開立(かいだて)1943となっている。[1]配水池は時期を変えた拡張工事において複数回更新されてきた。特に現在もっとも目立つ展望塔を備えた3号配水池以前には5つの配水池が存在していた。

最初期に造られた旧1号配水池は大正13年に沖ノ山炭鉱が建設した沖ノ山上水道の設備の一つで、用水需要の増大と不衛生な井戸水や河川水の飲用に起因する伝染病蔓延の一つの解決策だった。厚東川に原水を求め、中山浄水場で上水の処理を行って市街地へ供給する手法は、後に複数の経路で建設された用水供給の礎となった。
一連の記述は沖ノ山水道の項目を作成した折には移動する

後年沖ノ山炭鉱は宇部市に一連の設備群を有償譲渡し、独自に途中まで同一ルートを通る工業用水道(末信用水)を建設している。市へ譲渡された設備群は数回の拡張事業を経て現在も市上下水道局が管理している。

現在は3池が稼働しており、それぞれの諸元は以下の通りである。[1]

種別諸元有効容量
1号幅41.9m、長さ39.1m、有効深4.0m6,000m3
2号直径50.69m、有効深4.9〜9.65m8,000m3
3号(内槽)直径39.5m、有効深5.0m6,000m3
3号(外槽)外径60.5m、有効深5.0m8,000m3

旧1号配水池監視廊入口
宇部に初めて本格的な上水道が導入された最初期の設備で、大正13年竣工とされる。


建設当時の状態を現在に伝える監視廊入口部分は意匠面でも極めて価値が高く、桃山配水計量室(通称六角堂)と共に国の登録有形文化財となっている。[2]現役引退し隣接する区域に3号配水池が造られるとき一部がかかるため、旧1号配水池は部分的に削られている。
1号配水池
中山浄水場からの押し上げ管路を挟んで3号配水池の反対側にある。昭和37年完成で当時は5号配水池と呼ばれていた。写真は3号配水池展望塔からの撮影。


管理エリアにあり一般の立ち入りはできない。
2号配水池
中山浄水場にもっとも近い側にある円形の配水池。ドーム型の上部は「水」のマークがペイントされている。
写真は3号配水池展望塔から撮影している。奥に見えるのが2号配水池である。


2号配水池もエリア内の一般の立ち入りはできない。配水池の北側に金山方面へ降りる古道の存在が確認されている。
3号配水池
3号配水池は平成元年5月完成で、県内では初めての展望台付きの上水貯水槽である。高さは14mで展望台の絶対高度は80mあり、天気の良い日は市街部のみならず九州の方まで一望できる。写真は隣接する里道よりフェンス越しに撮影。


外観は巨大な円筒状だが、内部は同心円の2槽構造となっている。1号・2号を合わせた貯水能力をもつ。
なお、展望塔への入場は開放されている曜日などに制限がある。詳細は後述する現地へのアクセスおよび見学についてを参照。
《 現地へのアクセス 》
桃山配水池は市街部から離れた東桃山の高台にあり、往来を要する道はどれも概して狭い。何通りかの経路があるものの大型観光バスなどが通れる道はなく、宇部の水の歴史をたどる上で重要な遺構でありながら観光開発におけるネックとなっている。
市街部からのもっとも分かりやすい経路は市道小松原通り線を北上するルートである。ただし桃山の坂がきわめてきつく、坂の最後にある六角堂の横は軽四でも慎重な運転が必要になる狭さのため車幅感覚に自信のあるドライバーに限定される。
物理的には普通車でも通過は可能

六角堂を過ぎると十字路に出る。
ここを直進すれば配水池が見えてくる。駐車場は旧1号配水池を正面に見て左側にある。


市内在住の慣れたドライバーはそれほど苦痛なく通っている。しかし一般にこの方面からの推奨されるルートは市道小松原桃山線を経由する方法である。


市道下条浜通り線との交点にある簡易点滅信号機が目印である。道路としては浜バイパス(山大病院通り)に繋がっているが、一方通行のためバイパス側から進入することはできない。下条浜通り線のどちらかから入ってこの信号機のところで右左折する。
写真は後述の坂道の方を向いて撮影


北上すると、最初にかなりきつい坂道がある。
そこから先は緩やかな登りが続き概ね離合も容易な道が続く。登り切ったところで六角堂の方から来る道との十字路に出会う。


もう一つ、県道琴芝際波線から宇部変電所の横を通過するルートを提示する。


県道琴芝際波線の小串台バス停を過ぎて押しボタン式信号機の先から左へ入る道がある。


この坂道を登ると宇部変電所の外周をなぞるような道になる。道幅はやや狭く離合できる場所が限られているが、変電所周辺は対向車が視認しやすい。変電所を過ぎた先は住宅地の中を通るようになる。線形は悪くブラインドカーブが多いので注意。

道なりに進むとこのような奇妙な三角形状の道に出会う。
ここを右折しても良いし、更に進めば先の十字路に出てくる。


三角形の道から入ると、配水池の角フェンスの前に展望塔見学者のための私設の案内板が出ている。この先が駐車場である。
案内板の映像はこちら


駐車場と言っても未舗装の余剰地である。来訪者は少なく長時間滞在する場所でもないので車が停まっていても1〜2台である。
見学可能な日にはこのように駐車場に面したフェンス門扉が開放されている。


自転車の場合はフェンスが空いていれば入場した上でユニットハウス付近へ停めて構わない。
《 見学について 》
旧1号配水池監視廊入口と3号配水池の展望台はフェンスで囲まれた同一エリアにあり、2009年頃までは随時自由に出入り可能であった。休日には子どもの遊び場にもなっていた。しかし上水や電気のようなライフラインのテロ対策の重要性が認識され、有刺鉄線付きネットフェンスで囲障され立入禁止になってしまった。このため見学可能日以外は監視廊入口はフェンスの外側から眺めるだけであり、展望塔に入ることはできない。

見学可能日は第2・4土曜日と毎週日曜日、祝日の午前9時〜午後4時となっている。[3]この時間帯にはフェンス門扉が開かれ自由に出入りできる。旧1号配水池監視廊入口を詳細に観察するだけなら特別な手続きも要らない。
【 展望塔の見学 】
3号配水池にある展望塔は施錠されていて、常駐する担当者から鍵をもらって自主的に解錠・施錠を行う形式になっている。
エリア内にはユニットハウスが設置され担当者が常駐している。
写真の手前にあるのは簡易トイレ


鍵は展望塔にの入口部分と展望台へ出るドアの2箇所にある。


見学を終えたら再び施錠し管理所へ鍵を返しに行く。
【 留意事項 】
・エリア門扉の開閉や鍵の管理は東桃山地区の高齢者グループによる当番制で運営されている。今後の状況によっては公開可能曜日や日時などが変動する可能性がある。
・午後4時まで開放しているが、終刻が近づくと片付けに入られるので時間的余裕をもって訪れるようにする。
・ユニットハウスの横には簡易トイレが設置されているが、自動販売機や水飲み場などの設備はない。
・展望室は360度窓ガラスに覆われており、窓は開かない。空調が設置されていないため夏場は非常に暑くなる。春先以降日差しの強い時期に訪れるときは、暑さ対策と水分の携行が必要である。[4]
夏場など水分補給を行わず長時間居れば容易に熱中症に陥るレベル
・一般見学可能となっている曜日以外の平日見学を希望する場合は、当局に問い合わせれば職員が随伴できる可能性がある。
《 近年の変化 》
《 個人的関わり 》
初めて訪れたのは2009年のことで、六角堂と合わせて自転車で訪れている。当時はライフラインのテロ対策が厳しくなる以前のことで、水道局の管理道に面して門扉のない門柱があり、自由に出入りできていた。
写真は2009年4月5日の撮影


ただしこの時点で展望塔は開放されておらず、見学可能な日に訪れて鍵を受け取る形式になっていた。旧1号配水池監視廊入口は自由に観られる状態だったので、いつでも来られると思ってこのときは撮影をしていない。その後3号配水池のあるエリアがフェンスで囲まれ立入禁止になったため、展望塔や旧1号配水池監視廊入口の撮影は見学可能日に限定された。

初期には見学者に対応可能な常駐者の確保が困難だったらしく、土日の2日連続で訪れていながらいずれも門扉が閉まっていたときがあった。初めてフェンスの内側に入って見学したのは2015年のことである。このときに展望塔にも登って遠景を撮影している。
2017年7月には再度の見学を行い、旧1号配水池監視廊入口を詳細に調査している。この総括記事は現時点までの状況をまとめたものである。また、展望塔を訪れたときには2度ともしかるべき場所に(公共の迷惑にならない方法で)足跡を遺している。
出典および編集追記:

1.「宇部の水道」(宇部市水道局)p.281, 291

2.「宇部市上下水道局|登録有形文化財について

3. 6月のみは土曜日の開放は第1・4週となっている。これは6月1日が水道の日であることに合わせている。

4. 7月に展望塔を訪れたとき体感している。「FBページ|2017/7/3の投稿」も参照。(要ログイン)

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