恩田スポーツパークをデザインするワークショップ【第一回】

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記事作成日:2018/11/27
最終編集日:2018/12/5
以下に恩田運動公園の改修計画に関するワークショップ(以下WSと略記)の第一回に参加したときの状況を時系列で報告する。

[1]で案内されている通り、第一回WSは日時を変えて4箇所で開催され、あらかじめ参加表明した時点で参加者は都合の良い会場へ出向くようになっていた。私は火・水の夕方は外出する用事があるので、21日の午後から開催される回を選んだ。この会場は当初市役所2階の会議室が予定されていたが、会場の都合で男女共同参画センター・フォーユーに変更された。

フォーユーと言えば地域SNSうべっちゃの黎明期に参加希望者向けの説明会が開かれ、私が初めてメンバーに接した会場であったことを思い出す。しかしそれ以外に利用歴はなく、琴芝校区在住時代でも自転車で市役所へ行くとき(自歩道の見通しが悪く歩行者や車との交錯が多い総合庁舎前T字路を避ける目的で)敷地内を勝手に通り抜けていた程度の関わりだった。

2階会議室へ入場するところ。
日時が分散しているせいか参加者はそれほど多くないようだった。


私が到着したのは定刻数分前で、ほどなくして始まった。私はスライドの映像が見やすいよう前の席に座った。以下、項目ごとに時系列をまとめている。
《 計画されている改修 》
まず、恩田運動公園の現状が紹介された。細かな説明はなかったが、このエリア一帯に当時の宇部市における運動関連の施設を集約する計画があり、順次整備されていったことは事前に接していた資料で知っていた。初期に造られたものほど老朽化が目立ち、またバリアフリーが当然のように言われている現代社会には馴染まない構造が目立った。そこで改修を行うと共にどのような施設の構成が望ましいかについて市民の意見も汲み上げる目的で今回のWSは企画された。

スライドでも恩田スポーツパーク構想という語が紹介されたので、現在恩田運動公園と呼ばれている名称が改修後は恩田スポーツパークになるだろうと感じた。


現状分析として、恩田運動公園とされているエリアの土地利用状況と種別が示された。
野球場や陸上競技場、プールを含む10.8haは都市公園だが、俵田翁記念体育館のあるエリアの1.2haは都市公園外である。この領域は国有地であり、市が借り受けて使用しているそうである。


このエリアにあるすべてが総替えされるのではない。俵田翁記念体育館は今年の4月より耐震補強を主な目的とした改修工事が始まっており、改修後はそのまま恩田スポーツパークに組み入れられる。ユーピーアールスタジアムと呼ばれている宇部市野球場も改修工事は平成10年のことで、20年経過しているとは言え最も新しい施設であり、そのまま使用されることが示された。

それ以外のすべての施設は多少なりとも改修対象とされる。
恩田運動公園の正面入口とされる国道190号に面した部分から現在ある通路や駐車場は改修される。


平成28年にリニューアルし、三角広場からアドベンチャー広場へと生まれ変わったこの部分も対象となる。
ただしこれは改修エリア内にあるというだけで、一昨年据え付けたまだ新しい遊具などをすべて取り替えるということではないだろう。


陸上競技場はこのエリアで最初に造られた施設で、本部席の構造物は山口国体のときに追加されている。そうは言っても既に半世紀が経過して傷みが目立つ。400mトラックは競技の公認施設となっているので、配置を大幅に変えたり別のものを造ったりすることはなく、必要な部分を手直しして存続することが示された。
プールは昭和33年の建設でこちらも老朽化が深刻であり、特に循環器系のポンプ部品に代替可能なものがなく、故障してしまうと対応できなくなるらしい。プール自体の傷みも目立つこともあって基本的にはすべて更新するか廃止されるそうである。個人的には恩田運動公園の各施設のうちで学童期の関わりが一番大きかった施設である。
《 ブレーンストーミング法によるアイデア出し 》
以上の前提条件の下で、まずは恩田スポーツパークに欲しい設備を書き出す作業に移ることとなった。この会場での参加者は10名程度だったので、作業が容易になるように2グループに分割された。作業は会議室の後ろにある席が確保されていた。


グループ分けは主催者側により適当に行われ、各グループにはエスコートおよび情報提供役となるために市関係者が含まれていた。多くの人にとって初めてのことなので、まず最初にグループ内で簡単な自己紹介を行うこととなった。私にとっては例えばスポーツコミッション関連で黒岩天神ウォーキングが企画されたとき、私が既に現地を視察し記事化していたので、紹介用の写真を提供して欲しいという依頼を受けてやり取りがあったため既に「知っている参加者」だった。他に私が存じ上げている参加者は少なかったが、自己紹介のとき郷土の写真とコラム執筆を手掛けている宇部マニアックスを名乗ったら、隣りのグループからも「ああ、この人だったのねー」の声が聞こえたのにちょっと驚いた。特に今年はメディアへの露出頻度が多かったため、私の顔はともかく宇部マニアックスというキーワードの認知度が高くなっているのは理解していたが…まあ、単に目立つだけではダメで何かの成果をアウトプットしていく必要があり、それ故にこのようなWSへの参加頻度も上げているのである。

新規にアイデアを出し合うときの手段としてブレーンストーミング法があり、初めてこの種のWSに参加する人もあったのでまずブレーンストーミングにおける基本ルールが提示された。ここであらかじめ用意された付箋紙に一つずつアイデアを書くこと、他人の意見も尊重し否定的見解を述べないことなどが確認された。また、実際には財政上の制約は当然あるのだが、できるだけ多くのアイデアを絞り出すことが第一目標なので、実現可能性についてあまり深く考えず各自が「こういった施設が欲しい」という程度のものを書き出すことが求められた。

一通りのアイデアを書いた後、グループ内で公園施設・運動施設・にぎわい創出施設の別に仕分けして付箋を大きな紙にまとめて貼った。私は運動機能として、昭和40年代辺りに流行ったフィールドアスレチックのような施設を書いた。プールは規模を縮小しつつも屋根付きないしは温水化して一年中利用できる施設にする案を書いた。公園機能としては現在プールと陸上競技場の間にあるメタセコイア並木の温存で、これはWSに参加する前から温めていた案だった。

グループの意見を統合して紙に貼っていく過程で、アイススケートのリンクを提案した方があった。幼少期から永らく恩田で暮らした私にとっては、スケートリンクというのは全く空中から生まれた想像とは思えなかった。まさにこの恩田地区では昭和40年代半ばまでアイススケート場が営業していた事実を知っていたからである。そこで実現可能性は別として、この案を「かつての宇部スケートリンクを彷彿とさせる復活案」と表現してみせた。メンバーの誰もが何のことか分からなかったので、私は次のように説明した。
「この近くにアルク恩田店がありますけど、そこは以前は丸信恩田店でした。そして丸信になる以前は第2宇部ボウルというボウリング場があり、同じ敷地に冬期はアイススケート、夏季はローラースケートができるリンクが営業していました。このスケート場は昭和40年代後半までに閉鎖され、次いでボウリング場もなくなって丸信になりました。」
丸信だった話はまだしも、かつてボウリング場とスケートリンクがあったことはスポーツコミッションの方もご存じなかったらしく、大変な反響があった。私にとっては既に半世紀近く前のこととは言っても強烈な想い出があり、それ故に早い時期にうちのホームページでも記事を書いている。ここで改めて書くこともないので(今後リンク先は変わるかも知れないが)下記を参照されたい。
派生記事: 宇部アイス・スタジアム
公園施設としては芝生や樹木を活かした子どもたちが安全に遊べる場所、運動施設としてはスケボーやボルダリング、にぎわい創出施設としては喫茶店やホームシアターといった案が出された。
《 グループ案の発表とまとめ 》
付箋をまとめ終えた後で各グループの代表者が説明に立った。私のグループではスポーツコミッション担当者が引き受けた。
第1グループが出した案を掲示したところ。


前述のように予算や現実味をあまり深く考えず欲しい施設のアイデアを出すのが目的だったので、第2グループからも含めて大胆な案が多数提出された。その中では寛げることと老若男女身体を動かせるタイプの公園設備を求める声が多かった。最近改修されて誕生したアドベンチャー広場は殊の外人気化しており、いつ行っても母親に見守られて幼児や子どもが遊んでいる。他方、近年のスポーツ種を取り入れたボルダリングやスリーバイスリーといった競技を行いたい需要も高かった。スケボーは人気が高いながら市街部では下地が傷んだり音がうるさいことから禁止されている場所が多く、気兼ねなく愉しめるようにこういった場所で整備したらいいという意見もあった。

付箋付きで提出された意見は、台紙ごと回収され次回のWSに反映されるそうである。次回のWSは来月12月2日でユーピーアールスタジアムにある会議室で開催されることとなっている。続編記事を作成したのでリンクで案内しておいた。

(「恩田スポーツパークをデザインするワークショップ【第二回】」へ続く)
出典および編集追記:

1.「宇部市|恩田スポーツパークをデザインするワークショップ

2.「FBタイムライン|”恩田スポーツパークに必要な機能を考える”ワークショップ」

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