市道丸山黒岩小串線【8】

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(「市道丸山黒岩小串線【7】」の続き)

大小路交差点を後にすると、まるっきり違う路線だと言われても納得してしまいそうな様相を示す。
道は狭い…確かに狭い。センターラインがないし、そもそも殆ど車に出会わない。丘陵地帯の端をなぞるローカル色の濃い路線に成り代わる。


道路幅は起点の丸山公園付近とほぼ同じ規格だ。しかしあの区間よりは意外に利用価値が高い。後で述べるような制約があるものの、例えば西の宮や京納あたりから北に向かうなら、朝夕の交通量が多く渋滞しやすい沼交差点をショートカットできる。それにもかかわらず通り抜け用途としてはあまり利用されないし、私自身も車では滅多に通らない。

通行に関する規制は、大型車両関係と朝方の児童登校時間帯の進入制限である。天下の公道だからそれ以外の時間帯は地元住民でなくとも四輪で堂々と通って良い。何となく敬遠されている理由は、単に道の狭さだけではなかった。もう少し先まで読み進めれば分かるだろう…

殆ど通らない道とはいえ、道端にある古いものや興味深い物件は必ずカメラで持ち帰る。ここには東屋のような構えの地蔵尊があった。


地蔵尊と言えば大抵は道端にひっそり佇んでいてよほど気をつけていなければ見過ごしてしまうものだが、常盤池本土手付近にある飛び上がり地蔵尊のように、東屋に加えて石碑や休憩所も備わっている。
写真がやや多くなるので別途派生記事に書いておいた。
派生記事: 中村地蔵尊
さて、この地蔵尊を過ぎたすぐ先でちょっと歪んだ十字路に出会う。
形態としては十字路なのだが、昔からの道にはありがちなようにどの2本をとっても直線的に会合していない。交通量は少ないにしても見通しが悪くドライバーが気を遣いそうなポイントだ。


直進となる道はほんの僅か進路を左に振っている。他方、右折する道はかなり大きい角度で切れ込んでいるように見える。

市道の経路を正確にトレースするという観点から言えば、この変形十字路は最初の「難関」である。
小串方面に行くにはどの道を行けばいいのだろう…
我々は既に丸山黒岩小串線という路線名を得ている。だから市道の終点が小串かその近辺にあることを理解している。しかし現在立っている場所を基準にして小串がどの方角になるか分からないのである。
大小路交差点を横切ってからは、市道は概ね西に向かっている…体感的には小串は現在地からみて直進にも右折にもなり得る。左折でないことだけは確かだ。それだと再び国道490号に戻ってしまう。

ここは自分にとって初めての場所ではない。この日のように風呂ヶ迫交差点から通して自転車で走ったのは今回初めてだが、別の経路からここに到達したことがあるし、車なら何度か通っている。それにもかかわらず行き先に自信が持てなかった。

右折する側をちょっと確認している。
少し進んだ先にV字型の分岐路がある。ただし右側の道は工事中らしい…通行止めの看板の前にガードマンが座って休憩していた。


この変形十字路を中心にポイントした地図である。
実は地図を提示するなら上の質問に回答を与えるのは容易だろう。


地図では大小路交差点が北東に見えており、交差点を過ぎて西南西方向に進んでいることになる。しかし地図を携えているわけではなく、マイナーな市道故に行き先表示板なども出ていない。ナビを搭載した車でも果たしてこの市道が載っているやら…疑問だ。
現代ではむしろこの場所に道路標が欲しいくらいなのだが…

さて、どう進むべきか…?
迷った挙げ句、小串方面なら体感的にこっちだろうと思われる直進を選んだのだが…

== 約2分間走った後のこと… ==

再びここまで戻ってきた。
やっぱり違っていたのだ。正しく目的の市道を辿れていない。


具体的に何処まで走ったかは敢えて示さないが、周囲の風景から京納の方に向かっている感触を掴んだ時点で間違いを認め、引き返しと相成った。

この近辺の認定市道を路線別に色分け表示してみた。


先ほど間違って「直進」してしまったのはピンク色の道で、市道中村線という別の路線である。2枚上の写真がその終点だ。変形十字路で直角に交わっている紫色の道市道まかよ小串線というとても狭い認定市道だ。この市道はまかよ山門線を走ったときと同じ日に全線走破している。
それ故にこの変形十字路に来たのが初めてではないわけである

そして追跡すべき市道丸山黒岩小串線は赤色のラインで示されたようにこの変形十字路で右折し、その先のスライス分岐をすぐ左ということになる。

はい、復唱!
中村地蔵尊が見えたらすぐ右折!
それからV字型の分岐路を左!
覚えられただろうか?

いや…まず無理だよそんなの…昔から暮らしている地元住民とかこの道を何度も通っているなら別だけど、たまにしか通らないドライバーなら数回程度ではまず覚えられない。
実際、大小路交差点から小串方面へ近道する目的で3度くらい車で走ったことがあるが、少なくとも2度はこのときと同様に間違って直進し京納方面へ向かってしまった輝かしい実績(?)を持つ。
進行方向が90度異なる…復帰には琴芝通りを経由して大回りする羽目になる

変形十字路を逆から撮影している。
これが逆方向から走れば意外に間違わず、ここできちんと左折することができる。直進となるまかよ小串線が如何にも狭いため「本線」ではないと判断できるからだ。


これほど間違いやすい原因は、先に続く市道中村線との接続角度の方がスムーズなこと、この変形十字路の近傍だけ小串から離れる方向に折れ線を描いているからだろう。
地図で見ても変形十字路で90度進行方向を右へ切るせいか、方角の感覚が若干狂ってしまう。まるで真締川へ向かっているように感じる。
その感覚は正しい。実際、十字路を通過した直後は方向としては真締川と直交する向きだ。しかしすぐ先で市道は進路を若干左に振る。このことで変形十字路の近傍を除外すれば、全体として大小路からずっと走ってきたのと同じ方向を保っているわけだ。

…というわけで…
右折してすぐ先に出会うスライス分岐を左だ。
右の分岐は市道まかよ小串線である。


まかよ小串線の分岐点を撮影しておきたかったが…まさか仕事中のガードマンにご登場願うわけにはいくまい。
まあ、初回走破時に撮影しているからいいや…とばかりに通り過ぎる。

選択すべきは左の分岐だ。
道幅もそうだが交通量の少なさも殆ど変わらない。


ブロック塀の連なる区間で市道は軽く左へカーブしている。このことで結局は軌道修正され小串方面に向かっているわけだ。

民家の切れる端にお不動様のやや古めかしい建屋がある。


縁日以外は祠だけが見える状態なので、枚数は少ないが別途記事に写真を載せた。
派生記事: 上宇部の荒神様・不動様
お不動様を過ぎると、大小路交差点を過ぎてからは初めてと言える位に片側の民家が退き野原のような荒れ地が広がる。
市道も先の方まで見通せる。軽い上りになっているようだ。


この登り坂の始まる場所から左へ折れる道がある。
市道中村寺の前線で、起点と終点はメモされているがまだ正確な経路を辿れていない路線だ。


再び市道の両脇に民家が建ち並ぶようになる。
相変わらず狭いが交通量が殆どなく、自転車に乗ったままカメラを構えるのに不都合はない。


この直線的な登り坂は信行寺坂と呼ばれている(と思われる)。信行寺はかつてこの近辺、鎌田地区に存在していた古い寺とされる。
派生記事: 信行寺坂
登り勾配が緩んだ先の右側に小さな児童公園を見つけた。
中村遊園地というらしい。平成期に入って造られた公園のようだ。児童公園にしてはコンパクトにまとまっている。


公園先にある右への分岐は市道川津線である。
この路線も起点と終点のみ把握していて途中経路はよく分からずまだ自転車で一度くらいしか走ったことがない。


心持ち道幅が広がったところで重要な路線に出会う。自分はもちろん意外に多くの方が見覚えがあると認識してもらえる場所だろうか。
ただしこのアングルでは植え込みもあって分かりづらいだろう。


交差点付近まで出てきた。これなら分かるかも知れない。
市道琴芝通り南京納川津線の終点である。通称「琴芝通り」と呼ばれている市道の終点部分になる。


通り過ぎて振り返って撮影。
琴芝通り南京納川津線はセンターラインのない道だが、幅はさすがに広い。交差部分も隅切りされていて曲がりやすくなっている。


自転車を停めている道端に中ほどが折れた石柱がある。隅切りされているにもかかわらず車が衝突するなどして折れてしまったようだ。
詳しいことは琴芝通りの記事を書いたときに述べよう。

琴芝通りは市内でも知名度が高い通りであり、終点付近はお馴染みの商店街はないながらも交通量はさすがに今までよりも多い。大小路交差点から西側で現在の市道の交通量が激減したが、ここ琴芝通りの終点で俄に車が多くなる。
即ち今まで走ってきた区間だけは道幅の狭さと経路の分かりづらさ故にドライバーからは敬遠されている。この場所での交通状況を観察するに、殆どの車はあの「分かりづらい区間」を避けて相互に往来している。

琴芝通りからの車の流れを取り込むことになるので、車通りは一気に増える。私もしょっちゅうではないが車で利用する区間だ。
道幅は変わらないので離合するには双方かなりスピードを落とさなければならない。


物理的な幅員は変わらないながら、道の両側に植え込みが連なるためにかなり狭く感じられる。
奇妙な鉄塔が右の方に見え始めた頃、また考えどころの十字路に出会う。


さて、今回収録分となるここまでの経路を書き込んでいる。


超大作だった市道レポートもそろそろ終わりが見えてきた。そしてここが最後の「迷うに値する主要な分岐点」である。国土地理院の地図では直進と右折だけ記載されている。
実際にはこの場所は十字路である…但し左折は地元管理の道
さて、どっちへ行けばいいの?


左への分岐は薄くスライスする感じで、右は殆ど直角に曲がっている。道幅としてはどちらも同等だ。
今度ばかりは先の変形十字路とは違う。私は答を知っているし、いずれの経路も相応に利用している。しかし狭い道を敬遠するドライバーならどちらもあまり入り込みたくない道かも知れないが…

(「市道丸山黒岩小串線【9】」へ続く)

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