市道常盤公園開片倉線【1】

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現地撮影日:2014/9/27
記事公開日:2014/10/16
市道常盤公園開片倉線は、常盤公園の石炭記念館前に起点を持ち、開地区の高台を超えて片倉へ向かう認定市道である。
下に起点をポイントした地図を掲げる。


ポイントされた場所からは三方向に道が伸びている。路線名よりどの方へ進めば良いかは想像がつくだろう。開も片倉もよく知られた地名なので、上の地図をグリグリとスクロールさせて全線の経路を早々に推測できてしまうかも知れない。ただし…本記事の総括をご覧になった読者は別として、本路線の正確な経路はそれほど自明なものではない。終点となる場所が二つあるうちのどっちだろうかという問題とは別に、ちょっと想像つかないところを通る区間を持つのである。
ネタバレを回避して読み進みたい方は全編を読むまで総括をご覧にならないことをお勧めする

常盤公園近辺を通る市道として、他に市道常盤公園江頭線市道丸山黒岩小串線がある。いずれも相応な距離があって話題も豊富な路線なのでファイルを分割し、実際の自転車走行や撮影も日を変えて行っている。本路線は2009年に最初の自転車走破を行い、2013年に開付近までを走って撮影した写真を元に第一巻の本編を書き進めていた。
あちこちの記事で書いている通り、常盤公園は現在動物園ゾーン計画により園内の更新工事が進められている。古い獣舎が撤去され、現地が再度造成されるなどで景観が大幅に変わった。本路線は常盤公園の敷地内を通る区間があるため、派生記事を要する案件も多く、のんびり書き進めているうちに動物園ゾーン付近の工事が進み、既に掲載してた写真とは大きく景観が変わってしまった。

動物園ゾーンの工事が一段落してから書き進めるのが理想だが、本路線の後半部分で記事化を急ぎたい案件があるので、2014年秋口、再度本路線を起点から通して撮影した。しかし写真をすべて新しいものに差し替えるのは大変だから殆ど景観が変わっていない場所はそのままにして記述を進めている。
常盤公園の更新工事が完了するまでまだ相当の期間を要する。ゾーン計画によれば本路線そのものの付け替えなどは行われない[1]が、道路近傍の景観は現状から大きく変わる可能性があるので留意されたい。

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地図で眺める限りでは東西に伸びる道に国道からやって来る道がT字路を成しているように認識される。しかし路線上では国道からここへ到達して右折するのが市道常盤公園江頭線となり、本市道としてはここが起点となる。常盤公園江頭線のこの場所については以下の記事を参照されたい。
派生記事: 市道常盤公園江頭線|市道常盤公園開片倉線起点
やや離れて起点を撮影。
実際の交通もここを東西方向に往来する流れが多い。


このT字路に隣接して常盤公園の正面駐車場がある。その項目でも述べたのだが、かつてはこの場所はT字路ではなく薄くスライスする変則三差路だった。正面玄関前を通って西駐車場方面へ左折するのが鋭角で曲がりにくいため、駐車場と道路敷が位置を入れ替わる形で現在のT字路に改良されている。この辺りの事情は既に書いた派生記事を参照。
派生記事: 常盤公園・正面入口駐車場
起点のスタートラインに移動する。
車道は緩やかな登りになっているのに対し、分離された自歩道は暫く平坦に進んでいる。


駐車場の平面に引きずられて暫く平坦な歩道は、正面入口への歩道分岐をこなした先で登りにかかる。
車道とは1m以上の高低差がついていて、側面はブロック積みになっている。


この場所の歩道整備も駐車場と同時期と思われるのだが、以前にここがどうだったか全く思い出せない。歩道がなかったのは確かだ。車道の端がどうなっていたか…多分ガードレールで仕切られているだけだったようにも思うが、確証がもてない。現在は長い登り坂になっているがかつてはもっと短く勾配があったような気がする。
幼少期に撮った写真が出てくる可能性はあるのだが…

歩道が車道に追いつき高度が等しくなった場所から振り返っている。
車道部は明らかに狭い。しかもカーブしているので、減速を促すためにセンターと路側に補助ラインが引かれている。カーブの内側は昔からの民家である。


ここは反対側から起点に向かって自転車で走るときの鬼門である。後続の写真でも分かるように、突然自歩道がなくなってこの狭い区間に差し掛かるのである。たまたまこのカーブを走っているとき背後から車にせっつかれたらかなり怖い思いをしなければならない。
もっとも自転車は車道走行が原則なのでそのまま車道を走って一向に構わない

ただし反対側から走る場合は常盤公園の正面入口に向かう場合が多いし、この狭く危ない場所をママチャリで走れと言うのも酷である。右側へ移って歩道内を徐行するのもやむなしだろう。
今まで自分もそのようにしていたのだが、数ヶ月前のこと初めてこの区間を車道走行した。そのとき上の写真でフェンスの切れ目に何やら古めかしい石碑がチラッと目に入った。気付いたもののカーブの途中で停車するなど危険極まりないので、そのときは走り去り後日改めて調べてきた。
それが以下の派生記事の示すものである。
派生記事: 猿田彦の石碑
起点からそのまま自転車で走ると分かりづらいが、この石碑のすぐ下に常盤公園の正面入口と常盤池方面を連絡する立体交差がある。
橋ではなくボックスカルバート構造なので、道路からは立体交差になっていることに気付きづらいだろう。
植物の絡まったフェンスが右側に見えている


真下の構造は常盤公園関連の以下の派生記事を参照。
派生記事: 正面入口の立体交差
本路線はスタート直後にちょっとした坂を登った。これは尾根部分をなぞる経路を取っているためで、元からあった地山である。下をくぐる園路は道路との平面交差を避けるために後から掘ったのだろう。

立体交差を過ぎると右側に広い駐車場が見えてくる。常盤公園の中央駐車場で、もう少し先にゲート付きの入口がある。


終点側から本路線の歩道を自転車で進んだ場合、先の立体交差で急に道幅が狭くなっている。また、正面玄関に向かうため右側の歩道へ移動することが殆どなため、この場所で道を横断する人が多かったらしい。歩道の切れる少し手前に横断歩道が新設された。

詳細は次項を参照されたい。
派生記事: 新設された横断歩道
この辺りは完全に常盤公園の敷地内を通っている。右側が西駐車場、左側は工事中の動物園ゾーンだ。現在はこのように間仕切りがされている。
以前の状況はこんな感じであった


以前は道路左側がネットフェンスで隔てられているのみで動物園の獣舎が眼下に見える位置にあった。おサルさんたちの活発なおしゃべりが道路まで聞こえていたものである。この記事を制作する現時点では別の飼育棟へ移され、代わりに重機の稼働音や作業員の声が聞こえていた。

この辺りは歩道も割を食って狭くなり一部は仮設フェンスになっている。
再度通して起点から撮影し直した現在の状況はこんな具合である。


動物園ゾーン計画により老朽化したこれらの檻などはすべて撤去され現在も工事が進められている。更新工事が終わったなら、また道路にまで動物たちの賑わしい声が聞こえるようになるだろう。[2]
以前の状態はこちら…園内の獣舎は概ね壊される前のものを撮影済み

この先に常盤公園の中央入口とされるゲートがあり、ときわレストハウスを兼ねる食事処が併設されている。
駐車場および中央入口に付随する設備などは以下の記事を参照されたい。
派生記事: 常盤公園・中央入口
中央入口を過ぎたすぐ先で、動物園ゾーンと行き来する立体交差に出会う。
歩道部にコンクリートが露出している部分の下である。


先の立体交差は正面玄関と白鳥湖方面との往来に使われ、この立体交差は常盤池と動物園および遊園地ゾーンとの往来に使われている。いずれも私が親に連れられ訪れていた時から存在しており、宮大路動物園から常盤公園に動物を移した昭和中期に造られたのではないかと思う。一般車両の通行と来園者の競合を回避すると共に、当時はまだ課金空間であった公園内を仕切る役目も果たしていた。
現在はスロープが追加設置されここからも降りることが可能

詳細は以下の派生記事に予定している。
派生記事: 西入口の立体交差
(記事が書き上がり次第リンクで案内します)

立体交差を過ぎた次の右カーブ外側に工事用出入口が仮設されている。
仮設とは言うものの相当長期に渡って使われていてスロープ部分は舗装されていた。


ここからは常盤公園の遊園地スペースが一番近い。しかし内側には現場担当者が詰めるスペースハウスが設置されており部外者の出入りはできない。この部分は動物園ゾーン工事が完了した後は塞がれるか、遊園専用の出入口になるだろう。

さて、本路線の起点付近からずっと常盤公園の敷地内を走っている状態だが、まるっきり民家が存在しないわけでもない。昔からこの地に暮らしていた人々の家屋は現在も市道の両側にある。一部は畑の広がっているところもある。


歩道外側の斜面が削られ県タイプの平ブロックが施工されている。かつての地山はもう少し高かったのを歩道確保のために削ったようだ。この区間は早くから民地が本路線に対して一定距離退いていたのかそれとも民地を買い上げたのかインターロッキングの自歩道が途切れずに続いている。

本路線は緩やかにアップダウンを繰り返している。民家の畑を見送った先で僅かばかり下りとなり、再び右側に常盤公園の敷地が現れる。
写真では木が生い茂っているので殆ど場所が分からないが、ときわミュージアム横にある野外彫刻展示場の端になる。


やがてときわミュージアムの入口とバス停が見えてくる。


写真ではたまたま門が開いているが、車での出入りは公園緑地課の資材搬入用として使われているので、一般車は原則として進入できない。普段は閉じていて左側のバス停横に一般来訪者向けの小さな門がある。
ときわミュージアム入り口については常盤公園関連の派生記事に書いた。
派生記事: 常盤公園・ときわミュージアム入口
ここでは本路線の面から語ると…そう頻繁ではないにしてもここから関係者の車がある程度出入りする。自歩道のインターロッキングは重量物を通せる設計になっていないので不等沈下を起こしてレンガ部材が緩んでいて自転車で通るとカタカタ音をたてる。
こういう側面があるので一般にインターロッキングの自歩道は自転車が通るのには乗り心地があまり良くない。木の根が路盤に侵入して部材を持ち上げてしまうこともある。[3]もっとも本来自転車は車道を走行すべきものではあるのだが…

再び本来の左側に戻り、ときわミュージアム入り口を過ぎた先の左に枝道がある。
市道江口野中線で、県道宇部空港線から少し入った地点より北上しここを終点とする路線だ。ここを出入りする車はそれほど多くない。私自身、車で通ったことはないし自転車でもアジトへに対して近道にならないので数回通っただけである。[2014/2/12]


本路線からは当然ながらまったく視認できないが、恐らくこの三差路の数メートル先の地中を一本の導水管が通っている。予備知識がなければ想像もつかないことだろう。
その正体こそ、常盤池から灌漑用水を導く常盤水路である。切貫樋門から開渠を流れ、ロックガーデンの中を経て隧道で本路線の下を通っている。西幹線[4]とも呼ばれるこの用水路は現在も梶返をはじめとする宇部台地に用水を供給している。この辺りはかつて切貫と呼ばれた場所で、小字の由来はそのまま江戸期に行われた灌漑用水のための掘削工事による。

ここから枝道の市道江口野中線を下りつつ注意深く右側を観察すると、意外に深い堀割状態になっているのが分かる。これは江戸期に行われた導水工事の痕跡と考えられる。現在は周囲に家が並び、用水路はコンクリート管に置き換えられている。[5]
いずれ当サイトで記事化を予定している…当面は既存の自前ブログリンクを掲載しておく
外部ブログ記事: 園外へ流出する水路の行方
そこを過ぎてカーブに差し掛かったところで再び左からの道に出会う。
市道恩田野中線で、野球場近辺の変則五差路からスタートして複雑なルートを経てここを終点としている。[2014/2/12]


この接続部付近で本路線が左カーブしているため見通しが非常に悪い。手前に民家の塀が設置され、恩田野中線の接続部付近は本路線に向かって登り坂なので枝道・本路線の相互から車の存在が確認しづらくなっている。
十数年前、常盤公園関連の仕事に従事しているとき本路線を走っていてこの枝道から飛び出てきた車に追突され、生まれて初めて自動車事故を体験することになった現場である。詳細は以下の記事を参照。
派生記事: 初めて自動車事故を体験した場所
既にこの辺りの右側は常盤公園の西駐車場の一部である。
現在は北側にのみゲート付きの出入口が設置されている。入口に設置されている表示塔は最近新しいデザインで塗り替えられた。


西駐車場については既に公開済みの以下の記事を参照。
派生記事: 常盤公園・西入口
西駐車場に隣接して木々の目立つ森になっている。


ここにかつて市公園緑地課が使っていた管理用出入口があった。
道路の反対側から撮影している。フェンスの奥に道らしきものが見えるのが分かるだろうか。


取り付け道がありながらフェンスは門扉ではなく基本形で囲障されていて歩車道境界ブロックも切れ目がない。即ち今後まったく使うあてがないために完全に塞がれている。詳細は以下の記事を参照。
派生記事: 常盤公園・旧西通用門
この辺りはあじさい苑の裏手奥になる。雑木林状態で殆ど誰も近寄ることはない。


猿田彦石碑があった場所から続いていた幅広のインターロッキング自歩道は、この先で突然消失する。
この場所は常盤公園の敷地と本路線が接する最後の地点だ。


他の場所はともかく、あじさい苑に隣接するこの区間のインターロッキング歩道は最近の8年以内に施工されたものの筈だ。ここから先は昔から民地が道路に接していて自歩道を確保できなかったようである。詳細は以下の記事を参照。
派生記事: 自歩道を欠く危険な場所
起点から走る自転車は基本的に左側通行するものの、のんびり進みたいなら幅広のインターロッキング自歩道内を走るだろう。それは法規的に問題はないのだが、初めて訪れるといきなり消失する歩道に戸惑うだろう。
ここから先は主要な五差路に出てくるまで本路線の両側とも歩道の整備が遅れている区間だ。自転車に跨ったままカメラを構えるのも躊躇われつつ足早に進むのであった…

(「市道常盤公園開片倉線【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 動物園ゾーンリニューアル計画の模型がときわ湖水ホールに展示されている。模型によれば付近を通る市道常盤公園江頭線および本路線の線形変更などは行われないようである。

2. 風向きによってはおサルさんたちの叫び声は梶返あたりでも聞き取れることがある。

3. 市道北琴芝鍋倉町線西梶返三差路付近の自歩道に一ヶ所そのような場所がある。一時期工事用コーンが置かれていたが対処されずもう何年も放置されている。買い物帰りでママチャリの前カゴに卵などを積んでいるときは要注意だ…^^;(2014/10/20頃に補修工事が完了しました)

4.「琴芝ガイドマップ」(琴芝まちづくりサークル)には常盤用水路西幹線と記述されている。歴史的には上小場(木場)ないしは上溝などとも呼ばれていた。
当サイトでは県営常盤用水路と区別するため常盤水路(本土手・切貫)と表記している。

5. 本路線の舗装天から水路の流下水準の高低差は10m近い。当時オープンカットで通したのか隧道を掘ったのかは資料がなく不明である。

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