《 市内各地での収録 》
QUEEN のフレディー・マーキュリーに扮して市内各地で歌う場面を収録することだけ知らされていて、具体的に何処へ行ってどんな格好で歌うかは分かっていなかった。落ち合う場所は市内ロケのときの定番地である宇部護国神社下の駐車場で、10時に自宅から徒歩で行った。写真は松田ディレクターの車が到着したときの撮影。
松田ディレクターが監督を務め、撮影には GoPro などを扱う岡藤さん、上空からのドローン撮影を担当する山口さんの3人が音声と映像を採取した。
【 宇部護国神社下 】
フレディー・マーキュリーの出で立ちで歌うことは知らされていたが、一連のアイテムを見たのはこのときが初めてだった。アイテムはウィッグ、ひげ、ランニング、水色のパンツ、サスペンダー、銀色のシューズだった。ランニング姿で収録するので着ているものを全部脱ぐ必要があり、場所がないので松田ディレクターの車の後部座席で着替えた。銀色のシューズは松田ディレクターが山口市内の百貨店で偶然に見つけたもので、イメージにぴったりで一足しかなかったので即決したという。サイズがかなり小さく足を入れるのに苦労した。
着替え終わった直後の自撮り。
ヒゲは変装用に市販されているものの裏に両面テープを貼って取り付けている。このため長時間の収録時で汗や皮脂が出る上に歌うとき口を動かすので何度も外れた。
歌うシーンを収録して後で実際の演奏を被せるために、歌うテンポを曲の速さに合わせる必要があった。そのためには実際の曲を聴きながら歌う必要があるが、レコーダーなどで再生すると移動しながら歌うとき音源から離れて曲が聞こえなくなる問題があった。そこで私がワイヤレスのイヤホンを装着し、松田ディレクターのスマホで再生している曲を受信しながら歌うことでクリアしている。
最初の収録シーン。
参道の下にカメラを配置し、マイクを持って歌いながら階段を上下した。
宇部護国神社は私の居住地と同じ小羽山地区内にあり、ご近所さんと言えるレベルに近いことから、参道の下で本堂に向かって手を合わせ「野村宮司さんごめんなさい!」と拝礼してから歌い始めた。
レコードを聴くだけでフレディーの歌っているシーンを見たことが一度もないので、振り付けはまったくの即興である。一応、歌っているときの生声もポケットの録音機で収録されている。ただし手持ちのマイクはダミーである。
次に市道維新山西山線の車両通行不能区間を走りながら歌う場面が収録された。
このとき隣接する介護施設を訪問していた幼稚園児と保母さんがこちらを眺めている一場面もあった。
もっとも歌っている本人は仕事の一環という意識であって、照れくさいとかそういうのは全然感じなかった。カメラマンが居て複数人が音声収録しているのだから、何かの番組のロケというのは一目で分かるからだ。
【 真締川・新西ノ宮橋下流東岸 】
次の撮影場所として新西ノ宮橋の下流にある真締川の護岸が選ばれた。写真は機材をセッティングしているときの様子。
ここと対岸の護岸道は、宇部マニアックスとして番組に出演し始めた初期に自己紹介映像として選択された場所で、宇部マニ映像デビューの地と勝手呼称されている。ここでの収録は短時間だったので、道路外に車を停めて護岸へ降りて収録している。周辺の交通量は多いが、護岸が道路より低いため人目につきづらいメリットがあった。
曲の中で 〽 Have a good time, good time. と歌う部分がある。この節に合わせて松田ディレクターを含む3人がコブシを突き上げるシーンは、私が GoPro を持って撮影している。
実際に流れた映像。
次の宇部大橋と親水エリア付近の公園での収録は長時間になることが予想されたので、近くの有料駐車場に向かうこととなった。
【 真締川・宇部大橋 】
このとき松田ディレクターから「自転車を漕いでいるフレディー・マーキュリーを撮りたいけど家から自転車を持ってくることはできますか?」と尋ねられた。私としては同じアルバム JAZZ に収録されている「バイシクル・レース」からの発想が働いたのではないかと思ったが、単純に宇部マニアックスが自転車で市内を移動することが多いことの象徴として使いたかったのかも知れない。[要確認]生憎このとき自宅にある自転車は、空気がジワジワ抜けるパンク状態のまま修理せずに放置されていた。[1] しかしパンクしたとき一気に空気が抜けないように薬剤注入処理されているので、空気を一杯にすれば一定時間は走れるかも知れないと言った。それで一旦自宅近くまで松田ディレクターの車で戻り、私は走って自宅に戻ってフラットタイヤ状態の後輪に空気を入れ、念のために空気入れを持って自転車を漕いで松田ディレクターの車まで戻った。空気入れはメンバーの乗っている松田ディレクターの車に積み込み駐車場に向かい、私は宇部大橋まで自転車を漕いだ。
撮影にすぐ入れるように着ているものはもちろんカメラもカバンに入れたまま車に置いていたので、宇部大橋を自転車で走るときの状況は私のカメラでは撮影していない。私は宇部大橋の下流側自歩道の西の端に待機し、合図を見て東に向いて自転車を漕いだ。この様子は正面から松田ディレクター、東側の公園エリアからズームで岡藤さんのカメラで撮影された。山大病院通りはきわめて交通量が多い道路なのでかなり目立った。
実際に流れた映像。
この映像の前に「宇部でフレディー・マーキュリーを見つけた」というテロップが流れていた。
このときの指示は「合図をしたらあまり周囲を意識しないで普通に漕いで欲しい」だった。数回この自転車漕ぎを繰り返し、前掲の映像が採用されている。映像では自転車に乗った通行人とすれ違っているが、特にフレディー姿を意識した様子はなかった。
宇部大橋の下流側東岸には彫刻がある。その前で数回歌うシーンを収録した。激しい動きと歌唱で汗をかくことと口を動かすことで、鼻の下へ取り付けた両面テープの粘着力が弱って何度もヒゲが外れ落ちた。なお、この場所は後のちかば百選で真締川近辺が都市景観百選として取り上げられたとき映像で紹介されている。
収録後、私はそのまま漕いで自宅に戻った。その間何とか後輪の空気が抜けることなく持ち堪えたので、結果的に持参した空気入れは(駐車場から公園まで松田ディレクターが重いのを抱えて往復してくれたにもかかわらず)使うことはなかった。家から宇部大橋までの自転車での往復は、当然ながらフレディーの出で立ちのままである。自宅に自転車を置いた後、崩しの坂の下で待機している松田ディレクターの車に戻るとき、近所の人(もちろん私は知っている)がフレディー姿の私を見て「何事ですか?」と目を丸くしておられたので少しばかり説明を要した。
【 今富ダム 】
次の撮影候補地を何処にするかは移動しながら考えたと思う。宇部マニアックス主演なので、市内にあって題材として興味深い物件が求められた。市道真締川西通り2号線から国道490号に出てを北上するとき、真締川ダムで撮ろうかという案もあった。どういう理由だったか忘れたけど、考えているうちに白石交差点を通過してそのまま国道2号に出た。水色の大蛇として知られる厚東川ダム方面は題材として適切だったが、吉部方面でのロケを念頭においていたので逆方向になるため断念して今富ダムを訪れた。
ロケでは今富ダムでの滞在時間がもっとも長かった。
写真は機材をセッティングしているときの様子。
このときはカメラをポケットに入れていたので、随所で撮影している。
マイクはスタンド着きの本格的(に見える)なものを放流口近くの地覆に据えて歌った。
歌うときテンポを合わせるためにワイヤレスのイヤホンを装着していたのだが、今富ダムの収録時は音が途切れて最後にはまったく聞こえなくなった。しかし音楽ナシでも歌えるので、大体同じテンポになるようにそのまま歌い続けた。歌う音声は収録されておらず、曲の最後のフェードアウト部分に合わせてドローンを上昇させながら撮影する部分に重点が置かれた。
実際に流れたフェードアウト部分の映像。
ドローンが段々と高く上がっていくのは歌いながら見えていたので、歌い終わってフェードアウトする間もずっと両手を挙げたポーズを取っている。これは「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が何を歌った曲なのかというコンセプトが頭にあったからで、このポーズ以外考えられなかった。[2]天高く上昇していくドローン映像はこの曲のイメージにぴったり合致している。個人的にはこのドローン上昇映像を高く評価している。
今富ダム下には公園がある。実際の放映時で私が中学生時代 QUEEN に入れ込んだ経緯を語るシーンはここで収録された。午前の収録はここまでで、楠こもれびの郷で昼食を取るために県道小野田美東線を船木方面に向かった。
【 矢矯・楠こもれびの郷 】
この途中、矢矯バス停付近に車を停めて少し収録している。バス停をバックにした撮影や、花を摘んで匂いを嗅ぐシーン、ウィンクするシーンなどである。この場所で撮ったのは予定されていたことではなく、往路で県道を通ったとき隣接する田に転落していた大型トラックが目に留まったからであった。ここまでを収録して正午近くになったので、楠こもれびの郷まで戻って昼食をとった。
私は肉うどんとおむすびのセットにした。
フレディーの出で立ちで来訪者が多い楠こもれびの郷に行くのはさすがに恥ずかしいので、着替えない代わりに仕事用のジャンパーを羽織っている。
松田ディレクターの車に貼られていたウベマニアのシールを撮影したときガラスに写る自分の姿で判明した。
午後の収録では今富ダム前を通過して吉部に向かった。
【 吉部地区 】
吉部地区は「風景印その先へ…」で吉部の大岩郷と大棚トンネルを紹介している。まずは大岩郷で収録した。
積み重なる大岩の中ほどまで登って歌った。また、このときも上空からのドローン撮影が行われた。
次に大棚トンネルへ向かった。
初回ロケ時と2020年総まとめ収録時では大棚自治会集会所へクルマを停めたが、歩く距離が長いので今回は直接大棚トンネル前まで乗り入れている。
時系列ではここが最後の収録地だった。実際の映像では歌い始めに近い部分に現れている。
【 その他の訪問先・帰宅 】
大棚トンネルでウベミアンラプソディーとしての収録は終了した。しかしただちに自宅へ送り届けてもらったのではなく、28分の1テレビの別企画で必要な映像採取で山陽小野田氏有帆方面に立ち寄った。ドローン映像による撮影場所当てクイズに必要な映像採取のためだった。異なる企画でも先々の放映で編成上必要となる素材採取するために同行することは普通である。フレディー・マーキュリーの出で立ちから元の服装に着替えたかどうか覚えていない。歩くと痛いほどに靴が小さくてきつかったので、大棚トンネルでの収録が終わった直後に履き替えた。有帆での撮影を終えて自宅近くまで送り届けてもらった。フレディー・マーキュリー関連の服装一式は一日中着ていて汗ばんでいるので、紙袋に入れて持ち帰った。忘れずに空気入れも取り下ろした。
《 スタジオでの収録 》
4月17日のロケではポケットに録音機を入れて歌唱音声も採取されていた。しかし各地で十数回歌っている中から場面に応じた部分を採取するのは大変であり、全体を通した歌唱音声データが欲しいということで、翌々日の19日にスタジオで音声のみ別収録されることとなった。ロケ時に着ていたランニングやパンツは、自宅で洗濯してこの日に持参した。
本社到着時に松田ディレクターは一昨日採取した映像を元に編成作業を続けていた。
高橋さんが感心して映像と歌唱部分を眺めているところ。
同じ編成部にいる柴崎さんも感心して見ていた。
私の声の質は別として、臆することなく適当な振り付けで踊りつつ歌っている姿に高橋さんは「惚れ直した♥」そうである。
(…と言うよりは「惚れ直した?」と誘導尋問した疑惑が濃厚という話も…)
その後音声採録のために隣りのスタジオ(まちかどNEWSが配信されているスタジオ)で、改めてドント・ストップ・ミー・ナウを歌うこととなった。
全体を通した歌唱採取となると細部が目立ってしまうかも知れない。実はロケ後に一箇所だけ歌詞を誤って覚えたまま歌っていたことが分かっていた。[3]歌詞カードは十数年前にアルバム JAZZ をCDレンタルで借りたときコピーして持っていた。
細かくチェックし過ぎると却って歌えなくなると思ったので、その一箇所だけ頭に入れてロケ時よりやや声を大きめにして歌った。映像は採取されていないと思われるがロケ時と同じような動作も交えた。
実際の放映で使われることはなかったのだが、ショートフィルムコンテストの名称の元となった「ボヘミアンラプソディー」も歌唱音声のみ採取されている。この曲はコーラス部分が多く独唱には不適で、適当に主旋律とバックコーラスをごちゃ混ぜにして歌っている。もし削除されていなければ、それは表に出て来ることのない山口ケーブルビジョンのライブラリーとして保存され続けることだろう。
【 スタジオ収録後の行動 】
ウベミアンラプソディーの収録についてはここまでだった。用事をいくつも抱える人なら次の仕事場へ向かうのが普通だが、私は山口市へクルマを走らせること自体それほど頻繁にはないので、この後予定されていたハッセーさんぽの収録に同行した。ハッセーさんぽは28分の1テレビの中の枠で放映される企画で、風景印220景の出発点となった山口後河原郵便局で開催されていた長谷川さんの切手展を観に行っている。
《 収録に伴う影響 》
暗記しているとは言っても細部の単語までチェックする必要から、自宅でも数回この曲を含めて QUEEN を聴いている。しかし元より音楽を聴きながらデスクワークする習慣がないせいですぐに再び聴かなくなった。この理由は何かの曲をかけると作業の手が停まり歌ってしまうからである。顕著な影響が二つある。一つは11月に新川地区で実施されたサイコロ旅に際して、新川小学校で子どもたちに行った郷土授業である。このシナリオや音声映像は局長が構成し、実際のトークは私が行った。合間に休憩タイムとして子どもたちの好きな歌を流す部分があり、そこで私は子どもたちの前で即興で踊ってみせた。従来ならそんな恥ずかしいことはまずやらない筈なのだが、ウベミアンラプソディーの収録からそれほど期間が経っていなかった影響があった。
もう一つは同じく11月下旬に松巖園で開催された日本舞踊のイベントである。この最後に市民なじみの南蛮音頭があった。そこで私は当初から”率先して舞台で踊るように”言われていた。未だ南蛮音頭の振り付けを完璧に覚えていないままに来訪者の前で踊ってみせた。
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出典および編集追記:
1. パンク修理せずに放置していた理由は、市内にも支店を持つ(株)あさひの株式を持っていて株主優待が送られるのを待っていたからだった。株主優待は5,000円相当の金券であり、現金を使わずに株主優待で決済したいからだった。なお、当該株式は2023年度を最後に株主優待を廃止している。
2. 個人的見解だが「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が歌っているコンセプトは”陶酔”と考えている。ドラッグに影響された陶酔から性的所作に伴う陶酔などを含む。ただし曲の中でセックスに関する明確な表現はあるがドラッグを示唆する表現はない。
3. Like an atom bomb about to oh oh oh oh oh explode の部分。Like an atom bomb. I'm gonna oh oh … と誤って歌っていた。
1. パンク修理せずに放置していた理由は、市内にも支店を持つ(株)あさひの株式を持っていて株主優待が送られるのを待っていたからだった。株主優待は5,000円相当の金券であり、現金を使わずに株主優待で決済したいからだった。なお、当該株式は2023年度を最後に株主優待を廃止している。
2. 個人的見解だが「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が歌っているコンセプトは”陶酔”と考えている。ドラッグに影響された陶酔から性的所作に伴う陶酔などを含む。ただし曲の中でセックスに関する明確な表現はあるがドラッグを示唆する表現はない。
3. Like an atom bomb about to oh oh oh oh oh explode の部分。Like an atom bomb. I'm gonna oh oh … と誤って歌っていた。