市道常盤公園江頭線【2】

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記事公開日:2013/8/27
(「市道常盤公園江頭線【1】」の続き)

エラく間が開いてしまったので、第2編にも記事公開日を入れておくことにする。
使用した写真の撮影時期はほぼ同じだが一部で差し替えている

市道常盤公園江頭線は石炭記念館の見える前のT字路で右に折れる。
これから進むべき方向を撮影している。


カーブの内側は深い藪になっているが、よく見るとオブジェの後ろに柵の一部分が切れていて降りる階段がある。


数年前、突然の通り雨に戸惑い木の葉の生い茂るこの場所に雨宿り場所を選んだ。そのときこの一角にフェンスが途切れて下り階段があるのを見つけた。好奇心から初めてここを下ったときの衝撃ったらなかった。

今から思えば、この階段の下に水色の何かが見えていなかったら降りてみようなどという気は起きなかった。常盤水路や先ほどリンクを紹介した宇部興産(株)常盤工業用水、ジェットコースターの基礎跡などの発見もずっと遅れていただろう。このときの衝撃的発見は以前書いた派生記事にまとめている。
もっとも現在では派生記事で不明だった内容の殆どは解明できている
派生記事: 常盤水路・本土手【1】
反対側からも撮影。
左折は市道常盤公園開片倉線という別の路線の起点となる。もっとも実際の車の流れは写真の方向の往来が多い。


将来的に記事を書き上げたなら分岐できるようにリンクをアクティブにしよう。
派生記事: 市道常盤公園開片倉線【1】
右折すると、市道はいよいよ核心部分とも言えるべき区間に向かう。


カーブの外側に祠があり、訪れる人が休憩するためのベンチが据えられている。


寺院仏閣関連は物件として扱わない当サイトでも、さすがに何の言及もなしに素通りするわけにはいかない。派生記事に書いておいた。
派生記事: 飛び上がり地蔵尊
飛び上がり地蔵尊の手水を背にすると、隣接して鉄扉つきの入口が目に着く。


正面から観たところ。
今は使われてなさそうだがちゃんと銘板まで設置されている。


正確なことは分からない。これほどの門扉がある以上、かつては常盤公園の入口の一つだったと考えざるを得ない。詳細はこちらに。
派生記事: 常盤公園・樋門入口
また、殆ど同じ場所から市道進行方向を観ると、右カーブの形状が異様なことになっている。


不必要に常盤池の方へ膨れているようだが、これにもちゃんとした理由がある。
この詳細は次項を参照されたい。
派生記事: 大きく膨らんだカーブの理由
この辺りより、市道は本土手(ほんどて)と呼ばれる常盤池の最も重要な部分を通ることになる。

常盤池が古代から自然発生していた池ではなく、灌漑用水を確保するために人為的に造られた溜め池であることは、この道路レポートをお読みになっている方も聞き及んでいることだろう。昔は溜め池でなかったなら何であったかと言えば、気ままに水が流れる谷だったのである。
この谷間にダムを造るが如く堰き止めて水を溜めた…その堰堤が造られた場所がここ、本土手である。更に詳しい情報は派生記事に書いておいた。
派生記事: 常盤池・本土手
今となっては想像もつかないが、現在見えている場所は常盤池以前は深い谷間だったことになる。
もっとも現在は本土手を護岸で補強し、その上に市道を通しているため通常の陸地のように感じられる。


振り返って撮影。
この区間で歩道部分は幅を確保しきれず、古い護岸の上に張り出す形で追加設置されている。その下には常盤池初代スタイルの護岸が遺っていた。


この造りから当初はこの区間に歩道が存在しなかったのは確実だろう。しかし幼少期も自転車や徒歩でこの方向まで来ることがなかったので、いつ設置されたか時期は不明である。

張り出し歩道から眺めた常盤池。
ここは数ある認定市道のうちもっとも常盤池に接近する場所[1]だ。特に水位が高ければ常盤池の水は張り出し歩道の真下にまで及ぶので、市道の一部が常盤池の上を通っていることになる。


おおよそ市道とは無関係だが何となく気になって撮影した一枚。
常盤池にはこのような黒い浮きが異様に目立つ。まるでボウリングのボールが浮いているようだ^^;
ボート向けに浅瀬の位置を知らせる指標ではないかと思う


張り出し歩道と共に市道は左へカーブしている。
現在のような車の通行できる道になる以前は、真っ直ぐ本土手部分を渡り、そこで直角に左へ折れていたらしい。[2]


カーブの外側には隠されたように黄色いバリカーが設置されている。その先には道があるようだ。


この道は亀浦方面へ向かう古道として知られている。昭和の中期頃までは本土手からこの先の高台に向かわない近道として地元の人々に通行されていたという。[3]里道として認識されているせいか、この場所でキチンと歩車道境界ブロックが切られている。
いずれ詳細な記事を起こす予定なのでリンク用テキストのみ配置しておく。
派生記事: 常盤堤東荒手古道(仮称)
本土手を通過すると、市道は若干登り坂になる。


この標識の見えるすぐ外側に常盤池の余水吐が存在する。


余水吐についてはマップや案内板には記載されないので殆ど知られていない。詳細はこちら。
派生記事: 常盤池・余水吐
余水吐から道路の反対側を撮影している。
車は入れないが、アスファルトで舗装された遊歩道があり、ときわふれあいセンター付近に出られる。


上の写真で右側に写っている転落防止柵の下にボックスカルバートが設置されており、余水吐からの水を送っている。この遊歩道からは若干離れるので確認しづらいが、水路は江戸期に岩を削って造られた当時のままの姿を留めており、荒手と呼ばれている。
派生記事: 常盤池・荒手
ふれあいセンター付近に向かうこの遊歩道は、恐らくセンター付近の造成時に整備されたものと思われる。

さて、永く常盤池絡みの派生記事が続いたが、この坂を登ることで市道は常盤池からは縁が切れる。
この緩い登り坂の途中、まず右側に常盤公園臨時駐車場の入口が現れる。


やがて信号機付きの交差点が見える頃に、今度は左側やや低い土地にも区画で仕切られた駐車場が見える。
これらは常盤公園の臨時駐車場で、普段は閉鎖されているがイベント時で自動料金徴収機が備わっているその他の駐車場が満杯になりそうなときなど、門衛が常駐して料金徴収業務を行うことで使用される。
派生記事: 常盤公園・臨時駐車場
この先で市道は幅が拡がる。きちんとレーン分けされている交差点だ。
交差点の名前は特にない。敢えて言えば「ときわふれ合いセンター前」くらいになるだろうか…


立派なオーバーハングも設置されている。その下には便乗して(?)ときわ湖水ホールと東駐車場は左折、国道190号に出るには右折…という丁寧な行き先標示板が出ている。


おもしろいことに、ここのレーンの区分けは「左折のみ・直進+右折」という変則的なスタイルになっている。一般の交差点では直進する対向車をやり過ごす必要のある右折に時間がかかるので、2本設置する場合は「左折+直進・右折オンリー」となっていることが多い。直進が右折側にまとめてあるのは、道路線形から言って中央寄りの車線の方がスムーズに接続されるから以外の理由は恐らくない。直進が市道常盤公園江頭線の本線でありながらそのように通行する車が極めて少ない。早い話、ここでは直進車のレーン設定は「どこでも適当でいい」状態とも言える^^;

オーバーハングの標示板が緑色であることから示されるように、これは有料道路向けの案内である。もっとも山口宇部有料道路は無償化されたので、「有料(Toll)」の部分が抹消されている。
抹消前のオーバーハングの写真はこちら

ここで出会う路線は市道丸山黒岩小串線である。既に書き上げた記事中でも触れている通り、市道丸山黒岩小串線は調べ上げられた限り市内で最も長い認定市道である。
この交差点で乗り換えたい方は以下のリンクから…
派生記事: 市道丸山黒岩小串線【2】
さて、起点を出発して既に2編…とりわけこの第2編は200mちょっとしか走っていない。なかなか濃いネタが多かったせいだ。それに比べて常盤池を後にして目の前の市道を横切った先は、この市道の展開もかなりあっさりとしたものになるだろう。
代わりに私的ネタが増えるかも…

(「市道常盤公園江頭線【3】」へ続く)

出典および編集追記:

1. 実際に供用されている現役市道路線における話である。市道丸山黒岩小串線の旧道区間は常盤池の北端を床版橋で渡る場所が存在するし、未成線の市道常盤公園岡ノ辻線は常盤池の東條の入り江の上を通っている。

2. 本土手付近を描く古地図ではそのようになっている。後年、車をスムーズに通すように本土手の前後にカーブを挿入したと考えられる。

3. 亀浦在住の一読者による情報。

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