市道丸山黒岩小串線【6】

道路インデックスに戻る

(「市道丸山黒岩小串線【5】」の続き)

ときわ湖畔北バス停から延々と続くアップダウンの狭い道を進み、漸く坂の末端が見えてきた。
その途中にバス停サインが…


ときわ湖畔北バス停には雨宿りできるプレハブが置かれていたのに対し、ここにはバスを待つ客が座るベンチがないどころか、バス自身が退避できるスペースすらない。バス停サインも路側帯から外へ追い出されている。道路に対して真横を向いているのでバス停名が確認できなかった。
幅員が狭くこんな場所で自転車に跨ったまま停まっていること自体が危険なので、後続車両が切れた時点でサッと坂の上まで漕いだ。

これは初回走行時に撮影した写真である。このときは坂の下から次々と襲ってくる(?)通行車両に嫌気して歩道を押し歩きしていた。
開バス停ということになっている。


坂を登ってきた周辺はむしろそれまでよりも賑やかで、民家が並び幾条もの道路が交わってくる。
いや、賑わしいというのは裏返せば交通量がやたら多いということでもあるのだが…


地元の方には申し訳ないが、ここは初めて車で訪れた方を恐怖に陥れるかも知れないT字路だ。人によっては怖い目に遭い、もしかして二度と通りたくないという印象を持たれるかも知れない。


この場所には信号がないのに極めて交通量が多く、しかも変則T字路が近接して連続するというドライバーにストレスを与える道路構造になっている。昔からこの状態で交通量だけが倍増した感じだ。[1]
交差点ではないが便宜上開交差点として派生記事を作成してみた。
派生記事: 開交差点(仮称)
ついでながら、上の写真では道路右側の練積ブロックの傍に石碑が見えている。東西南北の行き先を記した道標で、大正天皇の御大禮記念として設置されている。詳細はこちら。
派生記事: 開の道標
2番目のT字路付近で市道丸山黒岩小串線は全区間での最高地点(標高およそ48m)に到達する。最高地点付近に家屋や道路が入り交じるせいか峠らしいイメージはなく、恐らく昔から峠としての名前は持たなかった(あるいは遙か昔には存在していたとしても失われた)と思う。


最高地点を過ぎると市道は一転して長い下り坂が続く。
相変わらず道路幅が狭い。このバス停もサインのみ立っていてバスが退避できる擦り付けはない。


おや…このバス停名も「開」である。
しかも相当古いらしくお馴染みのローマ字表記がない。


開というバス停が複数存在するのは、別系統のバス路線が通っているからだ。現在追跡している市道に沿ってスポーツ広場から続いている路線があり、先に横切った市道常盤公園開片倉線から流入する路線もある。私自身はまったく乗ったことがないが、地元および沿線住民の貴重な足になっている。

バス路線でありながらこの区間は狭く歩道がまったくない。しかも路肩と側溝の間という嫌な位置に電信柱が立っていたりする。


記憶が確かなら、上の写真で見えている右のコンクリート路は、かつては木造平屋の旧風呂ヶ迫市営住宅の入口の一つだったと思う。
灌木撤去の見積で現地を訪れたことがある
あるいは民間の社宅だったかも知れないが、一連の平屋は平成初期にすべて取り壊され跡地の一部に現在の鉄筋コンクリート造りの風呂ヶ迫市営アパート群が造られた。

下り坂なので自転車は跨っているだけで距離を稼げる。その意味ラクではあるが、後続車の状況によっては溝蓋の上まで押しやられ決して安全走行とはいかない。
しかも側溝蓋や車道部の傷みが相当に酷い


かなりきつい下り坂の途中で信号機付きの十字路に出会う。
ここで左から来て横切るのは市道沼風呂ヶ迫線である。


風呂ヶ迫交差点と勝手呼称しているが、この交差点についても若干述べておくことがあるので派生記事に仕立てておいた。
派生記事: 風呂ヶ迫交差点(仮称)
市道の本線としては深く考えることもなくこのまま直進である。
しかし…
突然だけどアジトに帰ります♪
日の陰り具合から想像つくように上の写真を撮影したときには既に午後4時を回っていた。
日が傾いて光量が減ると、途端に遠方を撮影したときのピントが甘くなってしまう。日にちとしては亀浦交差点から走り始めた【】と同じである。相当に空の色が夕暮れっぽくなっていることに気付くだろう。
途中で常盤池の陸繋島踏査を行うなどしたので遅くなっている

道路レポート向けでなくとも現在では風呂ヶ迫交差点を市道に沿って真っ直ぐ走ることは滅多にない。とりわけ自転車ではまだ一度もない。アジトへ帰るなら当然にここを左折で、直進すれば離れる方に向かってしまうからだ。「居住地に接近しながら再び離れてしまう道は通行頻度が低い」のセオリー通りである。

そういう訳で中途半端なところで切れてしまったが、ファイル自体は変更することなく続けて記述する。読者の皆様は私と一緒にアジトへ帰る必要はなく、そのままPCあるいはモバイルで下スクロールして頂くだけで良い…^^;
現地踏査日:2013/1/29
記事公開日:2013/2/7
年が明けてからは常盤池関連の記事を充実すべく、元旦からデジカメ片手に踏査を行った。常盤池に付随する構造物や設備に関しても丹念に撮影した。これに伴い常盤池の周遊園路を含む本市道の旧道区間スポーツ広場関連の記事を横話から独立記事に分離し、新たにときわ湖水ホール旧東入口東條の入り江に降りる道など写真を追加して内容を大幅に書き換えている。
更新履歴では新規公開記事のみを掲載しており、編集追記された記事は微細なものも含めるとあまりにも多すぎるので案内していない。主な変更分は上記にリンク付きテキストで案内した通りだが、その他については関連記事に現れる未読リンクを適宜参照して頂きたい。

---

…と言うことで時は流れて1月下旬のこと…

題材が道路なのでそんなに綺麗な撮影対象でもない。少しでも見良い写真にするにはやはり青空の広がる天気の良い日に限る。ちょうどこの方面に出かける用事のあった日曜日の午後、上宇部での用事を済ませて市道まかよ山門線後で登場する)を経由し、前回終了した風呂ヶ迫交差点まで戻ってきた。


厳密にやるなら一旦ここで交差点の反対側まで移動すべきだが…まあ、そこまでしなくて良いだろう。
今回は仕事の用件以外では、まったく純粋にこの市道の走破目的でここまで自転車を漕いでいた。他に立ち寄る用事もなかったので、風呂ヶ迫交差点の写真のみ数枚撮り、そこで自転車の向きを変えた。
写真にこそ撮影されていないが、クラブ活動帰りの学生が市道沼風呂ヶ迫線の坂を押し歩きしていた。しきりに交差点を撮影し、ここまで来ていながら自転車の向きを変えて引き返そうとする私の行動が如何にも突拍子なく、何となく痛い視線が感じられるような気も…^^;

さて、風呂ヶ迫交差点を過ぎてからも市道はなお下り坂が続く。下り線側にガードパイプで分離された歩道があるが、車道幅員からして狭い。


交差点のところでも述べた通り、この区間は既にバス路線ではなく大型車の通行が時間制限されている。それでもなお一般車両の通行量はヘビーだ。夕刻の退勤時間帯になると信号待ちの車がズラッと並ぶ。その車は 上の写真で見えている民家のブロック塀や門柱に近い位置まで寄って待機することになる。

長い下り坂が続く。自転車に跨っているだけで済むので楽ではあるが、それも先にここまでローギアで自転車を漕いできた「貯金」のお陰に他ならない。
さて、ここで普通に市道を走っている車や自転車ではまず知りようもない物件を「横切る」。


ちょっと通り過ぎ振り返って撮影。
位置としては正面に映っている給油所跡の少し先になる。日常的に市道を通行している人の99.9%以上はまず知らない…^^;


あの付近の下を常盤用水路が隧道で横切っている。
概要を派生記事に書いておいた。
派生記事: 常盤用水路・山門隧道(仮称)接近路
上の写真では給油所跡手前に細い道が見えている。そこを少し下れば隧道の真上を通ることになる。
目立たない場所を選んで通っている常盤用水路ながら、比較的容易に接近できる場所の一つである。

なお、本編の記述時にはカメラすらまともに向けていなかったのだが、右側に見えているのは墓標ではなく山門の八十八箇所である。記事化するかも知れないのでリンク向けテキストのみ配置しておく。
派生記事: 山門八十八箇所
一定勾配の下りが次第に緩み、この近辺では珍しく歩道幅が広くなる。


「とび出し注意」の札が立つ右側へ降りる割と広めの道がある。
この道は何処へ出られるのだろうと疑問に思っていらっしゃる読者があるかも知れない。


この枝道は市道ではなく地元管理の道である。
写真でも見えかけている通り、市道を外れると猛烈な下り坂で一気に沢地へ降りている。


行き止まりではなく市道大小路南側線を経て琴崎八幡宮付近に出て来れるようだが、途中は迷路のように細い道が入り組んでいる。
車では抜けられないかも知れない…元から地元管理の道であり通り抜けは推奨されない

地元住民以外殆ど出入りがなく、沢地および周辺は渡り団地と呼ばれる住宅地になっている。現在は大小路2丁目だが以前から渡りという地名で通っていて現在も自治会館や公園名に使われている。

この付近だけは何故か道路周辺が広く、自歩道も充分な幅が確保されている。
現場を観る限り以前は車が停まっているあたりまで外に膨らんだカーブだったのかも知れない。この近辺を訪れたことが殆どないので詳しいことは不明だ。


この膨らみカーブを過ぎると市道はまた元の狭さに戻ってしまう。
ガードパイプで護られた歩道も今までになく狭い。


センターラインを若干移動し無理やり歩道スペースをひねり出したような道路構造だ。
仮に歩道がなくすべてが車道だったとしても…それでもなお狭い。


分離された歩道も縦断用側溝に蓋が掛かっているから幅を稼げたようなものだ。上り線側の側溝は石積みに面しているせいか、蓋が掛かっていない。

このたび風呂ヶ迫交差点から再スタートする途中、行きしに撮影したショットである。
下手に路肩へ寄り過ぎれば脱輪する車が現れるだろう…そのため一定間隔にポストコーンが設置されているが、それさえも邪魔にならないよう側溝の端の端に乗せてもらっている状態だ。


自転車は基本左側通行なので、こんな状態であろうが車道を通らなければならない。のんびりカメラを構えながら走れる状態ではなく、このときも空き地に停車して後続の車を避けつつ撮影している。風呂ヶ迫交差点に向かう車は、充分な幅で回避するためにセンターラインを割って走る状態だ。

このような状況で自転車通行するとき、車との接触を避けるために右側の歩道の中を走りたくなるだろう。しかし遺憾ながら歩道通行は法規違反である。この区間の歩道は自転車通行可の標示が出ていないし、一般的に自転車が通行できるとされる2.0m以上の幅がないからだ。
風呂ヶ迫交差点にはこの区間が自転車通行可でないことを示す標示が出ている

もっともいくら法律が車道走行を要請しても絶対ではない。買い物カゴに荷物を積んだ高齢者に自転車で歩道を通るなとは言えないだろう。危険回避でやむを得ない場合は歩道通行は例外的に扱われる。自転車を降りて押し歩きするなら歩行者扱いになるので堂々と歩道を通れるが、そうなると今度は歩行者に出くわしたときすれ違いに困るだろう…
こういう道路仕様なので、自転車マップを作成するにも「通行に注意を要する」の最低評価を与えられてしまうのも仕方ないことである。恐らくはこの市道も昔からある由緒正しい古道の一つなのだろうが、現在の交通需要には些か対応しきれなくなっている。

個人的にこの辺りは自転車でゆっくり走ったことがなく、車では常に通過区間である。
やがて左側に時間帯つき一方通行制限の標識がある枝道に出会う。


市道京納山門線で、ほんの最近見つけて自転車で走った市道である。しかし路線としては昔からある道のようだ。
車で通るには些か狭く、通り抜け用途には適さない市道だ。


ここら辺りで一区切りつけるとして…

ここまで走れば市道の行く末がかなり見えてきたことだろう。
しかし…まだ安心はならない。正確にトレースすることは地図で眺めるよりも遙かに難しいことを実感させられるのであった。

(「市道丸山黒岩小串線【7】」へ続く)

出典および編集追記:

1. ここの記述では市道常盤公園開片倉線市道開墓地公園2号線との接続案内を省略している。その理由は、常盤公園開片倉線の経路が奇妙なことになっているので後日当該市道のレポートを書くまでネタバレ状態になるのを防ぐためである。

ホームに戻る